「MAツールを導入したいけど、種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」「自社の規模や予算に合ったツールはどれか」——こうした悩みを抱えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、見込み顧客の獲得・育成・商談化を自動化し、マーケティング活動の効率と成果を向上させるソフトウェアです。リードスコアリング、メール配信、ワークフロー自動化、レポートなどの機能を備え、マーケティングと営業の連携を強化します。
この記事では、2025年時点で国内のBtoB企業に特におすすめのMAツール5つを、機能・料金・導入難易度の3軸で比較します。
MAツールを選ぶ際は、以下の3つの軸で評価するのが効果的です。
| 判断基準 | チェックポイント |
|---|---|
| 機能 | スコアリング、ワークフロー、メール配信、フォーム/LP、CRM連携、レポート |
| 料金 | 初期費用、月額費用、従量課金の仕組み、TCO(総所有コスト) |
| 導入難易度 | 学習コスト、導入期間、専任人材の必要性、サポート体制 |
特にBtoB企業では、CRMとの連携とスコアリング機能がMAの価値を大きく左右します。ここがポイントになってくる部分です。
出典: SATORI (satori.marketing)
| ツール名 | 提供元 | 主な対象 | 月額料金(税抜) | CRM | 導入難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| HubSpot Marketing Hub | HubSpot | 全規模 | 1,800円〜 | 標準搭載 | 低〜中 |
| Adobe Marketo Engage | Adobe | 中堅〜大企業 | 15万円〜(目安) | 外部連携 | 高 |
| SATORI | SATORI | 中小企業 | 14.8万円〜 | 外部連携 | 低 |
| BowNow | クラウドサーカス | 中小企業 | 無料〜 | 外部連携 | 低 |
| Account Engagement(旧Pardot) | Salesforce | 中堅〜大企業 | 15万円〜 | Salesforce連携 | 中〜高 |
出典: Adobe Marketo Engage (business.adobe.com/jp)
特徴: CRM一体型のオールインワンプラットフォーム
HubSpotの最大の強みは、MA・SFA・CMS・カスタマーサービスが1つのプラットフォームに統合されている点です。CRMが標準搭載されているため、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで一気通貫でデータを管理できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Starter: 1,800円/月、Professional: 96,000円/月、Enterprise: 432,000円/月 |
| マーケティングコンタクト | Starter: 1,000件、Pro: 2,000件、Enterprise: 10,000件 |
| スコアリング | Professional以上(AI予測はEnterprise) |
| ワークフロー | Professional以上で利用可能 |
| 導入期間 | 数週間〜1ヶ月 |
| サポート | 日本語サポートあり、HubSpot Academy(無料) |
ワークフローとカスタムレポートの2つの機能がProfessional検討の大きな判断ポイントになります。スモールスタートで無料CRMから始め、段階的にMA機能を追加していけるのも大きなメリットです。
Salesforceを既にお使いの場合でも、HubSpotのMA機能だけを導入してSalesforceと連携させることが可能です。
向いている企業: CRM未導入またはCRMの入替を検討中の企業、マーケ・営業・CSを統合管理したい企業、スモールスタートから始めたい企業
特徴: 高度なカスタマイズ性を持つMA専業ツール
Marketoは2019年にAdobeに買収されたMA専業ツールで、マーケターが自ら高度な施策を設計できるカスタマイズ性の高さが最大の特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Growth: 15万円〜/月、Select: 25万円〜/月、Prime: 40万円〜/月(すべて目安・個別見積もり) |
| スコアリング | 全プランで複数モデル対応 |
| ワークフロー | スマートキャンペーンで高度なシナリオ構築 |
| 導入期間 | 1〜3ヶ月以上 |
| CRM連携 | Salesforce、Dynamics 365等 |
複数の事業部や製品ラインを横断する大規模なMA運用に強みがあります。ただし習熟に時間がかかり、専任のマーケターが必要になるケースが多いです。
向いている企業: Salesforce導入済みの大企業、専任マーケティングチームがある企業、Adobe Experience Cloudとの統合を検討中の企業
特徴: 国産MAツールの代表格。匿名リード管理が独自の強み
SATORIは国産MAツールで、シンプルなUI設計と充実したサポート体制が特徴です。最大の独自機能は匿名リード(アンノウンリード)の管理で、まだフォーム送信していない見込み顧客のウェブ行動を追跡・可視化できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 初期費用: 300,000円、月額: 148,000円〜 |
| コンタクト数 | 基本プランに含む |
| スコアリング | あり |
| ワークフロー | シナリオ機能あり |
| 導入期間 | 2週間〜1ヶ月 |
| サポート | 日本語サポート充実、オンボーディング支援 |
国産ツールならではの日本語サポートの手厚さが魅力です。ただしCRMは別途用意する必要があり、グローバル展開には向いていません。
向いている企業: MA初導入で手厚いサポートが欲しい中小企業、匿名リードの活用に力を入れたい企業、日本語サポートを重視する企業
特徴: 無料から始められる国産MAツール
BowNowは、初期費用無料・低コストで始められる国産MAツールです。シンプルな操作性が特徴で、MAツールの導入ハードルを極力下げた設計になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | フリープラン: 無料、エントリー: 12,000円/月〜、ライト: 24,000円/月〜、スタンダード: 36,000円/月〜 |
| コンタクト数 | プランにより異なる |
| スコアリング | 簡易的なスコアリングあり |
| ワークフロー | 基本的な自動化 |
| 導入期間 | 数日〜2週間 |
| サポート | 日本語サポートあり |
「まずはMAを試してみたい」という企業に最適なツールです。ただし、高度なスコアリングや複雑なワークフローが必要な場合は、機能的に物足りなくなる可能性があります。
向いている企業: 予算が限られている中小企業、まずはMAを試してみたい企業、シンプルな運用で十分な企業
特徴: Salesforce CRMとのネイティブ連携が最大の強み
Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceが提供するBtoB向けMAツールです。Salesforce CRMとのネイティブ連携により、マーケティングと営業のデータを完全に統合できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Growth: 150,000円/月〜、Plus: 330,000円/月〜、Advanced: 528,000円/月〜 |
| スコアリング | Einstein AIによるスコアリング(上位プラン) |
| ワークフロー | Engagement Studio |
| 導入期間 | 1〜2ヶ月 |
| CRM連携 | Salesforceネイティブ |
Salesforceを既に導入している企業にとっては、データの二重管理が発生しない点が最大のメリットです。ただし料金はMAツールの中でも高額な部類に入ります。
向いている企業: Salesforce CRMを既に導入済みの中堅〜大企業、Salesforceエコシステム内でMA機能を追加したい企業
| 機能 | HubSpot | Marketo | SATORI | BowNow | Account Engagement |
|---|---|---|---|---|---|
| メール配信 | ○ | ◎ | ○ | △ | ○ |
| スコアリング | ○ | ◎ | ○ | △ | ○ |
| ワークフロー | ◎ | ◎ | ○ | △ | ○ |
| LP/フォーム | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| CRM統合 | ◎(標準搭載) | △(外部連携) | △(外部連携) | △(外部連携) | ◎(SF連携) |
| コンテンツ制作 | ◎ | △ | △ | △ | △ |
| レポート | ◎ | ○ | ○ | △ | ○ |
| 日本語サポート | ○ | △ | ◎ | ◎ | ○ |
◎ = 非常に強い、○ = 標準的、△ = やや弱い/限定的
出典: Salesforce (salesforce.com/jp)
おすすめ: BowNow or HubSpot Starter
まずは無料プランで始めて、MAの基本を理解してから有料プランに移行するアプローチが現実的です。HubSpotなら無料CRMと組み合わせることで、コストを抑えながらCRM+MAの基盤を構築できます。
おすすめ: HubSpot Professional or SATORI
ワークフローやスコアリングが必要になる規模感です。日本語サポートを重視するならSATORI、CRM統合とコンテンツ制作まで含めたオールインワンを求めるならHubSpotが適しています。
おすすめ: HubSpot Enterprise, Marketo, or Account Engagement
Salesforceを既に導入していて変更予定がない場合はMarketoまたはAccount Engagement、CRMも含めて統合基盤を構築したい場合はHubSpot Enterpriseを検討いただくのがいいかなと思います。
高機能なツールを導入しても、運用する人材がいなければ宝の持ち腐れです。自社のマーケティング体制(専任/兼任、人数)に合ったツールを選ぶことが結構ミソになってきます。
MAツール単体では成果の可視化に限界があります。CRMと連携してリード→商談→受注のファネル全体を追えるようにすることが重要です。
なかなか全てを一気に進めるのは難しいので、まずは「メール配信+フォーム」など基本機能から始めて、段階的にスコアリングやワークフローを追加していくのがおすすめです。
MAツールの選定は、自社の規模・体制・既存システムに合わせて判断することが重要です。
まずは自社のマーケティング体制と既存システムを整理した上で、無料プランやトライアルで実際に触ってみることをおすすめします。ツール選びに時間をかけすぎるよりも、まずは始めてみて段階的に改善していく方が、結果的に早く成果につながります。
ツールによって異なりますが、BowNowやHubSpot Starterは数日〜2週間、HubSpot ProfessionalやSATORIは2週間〜1ヶ月、MarketoやAccount Engagementは1〜3ヶ月が目安です。既存データの移行やワークフロー設計を含めると、さらに期間が必要になる場合があります。
HubSpotやBowNow、SATORIは兼任でも運用可能です。MarketoやAccount Engagementは高度な設定が多いため、専任のマーケターがいた方が効果的に活用できます。
BowNowの無料プランやHubSpotの無料CRM+基本MA機能でも基本的なリード管理は可能です。ただし、スコアリングやワークフロー自動化などの本格的なMA機能を使うには有料プランが必要になります。月200〜300件超のリードを扱うようになったらProfessionalプランの検討をおすすめします。
CRMを未導入の場合は、HubSpotのようにCRM一体型のツールを選ぶのが効率的です。既にSalesforceなどのCRMを導入している場合は、そのCRMと連携しやすいMAツールを選ぶのが現実的です。
可能ですが、ワークフロー・スコアリング設定・コンテンツ資産の移行には手間とコストがかかります。最初の選定でなるべく長期的に使えるツールを選んでいただくのがいいかなと思います。