「リードは増えているのに商談数が伸びない」「マーケが獲得したリードがどうなったか追跡できていない」「ホットリードの見極めが担当者の感覚頼みになっている」——こうした課題は、リードマネジメントの全体設計が欠けていることに起因しています。
リードマネジメントとは、リード(見込み顧客)の獲得から商談化までの一連のプロセスを体系的に設計・管理・最適化する取り組みです。獲得→分類→スコアリング→ナーチャリング→商談化→失注掘り起こしまでの全体フローを、CRMとマーケティングオートメーションで一気通貫に管理します。
この記事では、リードマネジメントの全体設計の考え方と、HubSpotでの具体的な構築方法を解説します。
この記事でわかること:
リードマネジメントは、個別の施策(メール配信、スコアリング、ISの架電等)をバラバラに実行するのではなく、全体フローとして一気通貫で設計することが重要です。ここが結構ミソになってくるポイントです。
リードマネジメントの全体フロー:
1. リード獲得(フォーム・展示会・広告・紹介等)
↓
2. リード分類(営業問い合わせ / 一般 / NG)
↓
3. スコアリング(行動+属性でスコア算出)
↓
4. ナーチャリング(ステップメール・コンテンツ提供)
↓
5. MQL判定(スコア閾値到達 or ホットアクション検知)
↓
6. 営業アプローチ(IS架電 → FS商談)
↓
7. 商談管理(パイプライン)
↓
8. 受注 → 顧客 / 失注 → 掘り起こし(→ステップ4に戻る)
この全体フローを設計した上で、HubSpotの各機能を適切に組み合わせて実装していきます。
HubSpotのライフサイクルステージは、リードの検討段階を示す指標です。自社のカスタマージャーニーをベースに定義します。
| ステージ | 定義 | 担当部門 |
|---|---|---|
| リード | フォーム送信等でコンタクト情報を取得した段階 | マーケティング |
| MQL | マーケティング基準(スコア閾値等)でホットと判定 | マーケティング→IS |
| SQL | 営業が商談可能と判断したリード | IS→FS |
| 商談 | パイプラインに取引が作成された段階 | FS |
| 顧客 | 受注・契約済み | CS |
| アプローチNG | 競合他社・営業からの問い合わせ等 | — |
| 社内 | 自社メンバー(ドメインで自動分類) | — |
企業様によって最適な形は異なります。BtoBの企業様とBtoCの企業様ではもちろん設計が違いますし、同じBtoBでも業種や商材によって変わってきます。
BtoBでは1社に複数の担当者がいることが多いため、コンタクト(個人)と会社の両方でライフサイクルステージを管理することが重要です。
リード数はものすごくいるけど会社ベースで見たら意外と数は少ないということもあるので、両方の視点で管理すると実態に即した分析ができます。1企業に対して3名のリードがいた場合、一番前のステータス(進んだステージ)が会社のライフサイクルステージになるという考え方です。
スコアリングは、エンゲージメント(行動ベース)と適合(属性ベース)の2軸で設計します。
| カテゴリ | 項目 | 配点 | 備考 |
|---|---|---|---|
| エンゲージメント | 料金ページ閲覧 | +15点 | 検討意欲が高い行動 |
| エンゲージメント | 資料ダウンロード | +20点 | コンバージョン行動 |
| エンゲージメント | ウェビナー参加 | +15点 | 積極的な情報収集 |
| エンゲージメント | メール開封 | +3点 | 継続的な関心 |
| エンゲージメント | 30日以内の複数接点 | +10点 | アクティブなリード |
| 適合 | ターゲット業種 | +10点 | 商材との親和性 |
| 適合 | 決裁者の役職 | +10点 | 意思決定への影響力 |
| 適合 | ターゲット企業規模 | +5点 | 取引ポテンシャル |
| 減点 | 90日間アクティビティなし | -20点 | 関心の低下 |
定性的なものは20点まで、ウェブ行動を80点MAXにするという配分が目安です。MAX100点のスコアモデルで、50点以上でMQL化、70点以上で営業(FS/IS)へトスする基準を設定します。
スコアリングの閾値は、一度決めたら終わりではなく、分布を見ながら調整します。
スコアがMQL閾値に達していないリードに対して、ナーチャリングメールを段階的に配信します。
基本シナリオ:
ステップメールの設計で結構重要なのが遅延の入れ方です。メールを送った後にすぐ開封か未開封か判断すると、即座に開封する人はほぼいないので、例えば2日後とか1日後に開封するケースがあります。条件分岐の前に遅延を入れるというのが結構重要です。
失注したリードを放置するのではなく、ナーチャリングに戻す設計も重要です。
ライフサイクルステージが「失注掘り起こし」になったらメール3通を自動配信(5日→7日→3日間隔)し、ウェビナーや新コンテンツの案内を行います。
MQLに昇格したリードへのアプローチは、HubSpotで以下の3つの方法で実行できます。
1. コンタクトビューからの一覧架電
フィルタリングしたビューから順番に架電し、メモを残す方法。
2. タスクベース架電
一括でタスクを作成し、完了率を管理しながら架電する方法。
3. スコアリング/ページビューベースの優先順位付き架電
ただ単にかけていくだけよりも、HubSpotのMA機能を活用してスコアリングで優先順位の高い方から並べてアプローチする方が効率的です。
300人以上のリードに対しては、シーケンス機能でのアプローチが有効です。テンプレートの品質を上げれば、新卒でもベテラン並みのアプローチが可能になります。
シーケンスの運用数値感:
シーケンスのABテストも有効で、2〜3名のテンプレートを作って一番反応が良かったものを採用するという社内PDCAも回せます。
大量のアウトバウンドが必要な場合は、HubSpotのProspecting Agent(案件創出エージェント)も選択肢になります。100件でも濃いメールが送れるのが特徴ですが、日本語のビジネスマナーをプロンプトで指定する必要があります。
ただし、数百万〜数千万規模の大型案件は、しっかりリサーチと内容を見つつ文章は自分で書くというアプローチが重要です。
リードマネジメントの全体パフォーマンスを、ファネルレポートで可視化します。
追跡すべきKPI:
リードマネジメントの運用コストを最適化するために、マーケティングコンタクトの管理が重要です。
対象化ワークフロー(フォーム送信時)と対象外化ワークフロー(オプトアウト・バウンス・90日間メール未開封時)の両方を組むことで、課金を最適化できます。
リードマネジメントは、獲得→分類→スコアリング→ナーチャリング→MQL判定→営業アプローチ→商談化→失注掘り起こしの一気通貫フローとして設計することが最も重要です。
まずはライフサイクルステージの定義とMQL判定のスコアリングから始めて、データが蓄積されてきたらナーチャリングシナリオと失注掘り起こしを追加する——という段階的なアプローチがおすすめです。
CRMにデータが蓄積されるほど、スコアリングの精度が上がり、ナーチャリングの効果が向上し、商談化率の改善が期待できます。ぜひ自社に最適なリードマネジメントの仕組みを構築いただければなと思います。
リード獲得数が月200〜300件を超えてきたタイミングが、本格的なリードマネジメントの仕組み化を検討する目安です。それ以下の場合は、まずCRMへのデータ入力とライフサイクルステージの基本設定から始めましょう。
過去に商談化・受注したリードの共通点を分析するのが出発点です。マネージャーやトッププレイヤーの知見を聞き取り、「このリードはなぜ商談化したと思うか」を言語化し、スコアリングルールに反映させます。
HubSpotのリードオブジェクトは、営業がアプローチ中のホットリードを管理するための専用機能です。コンタクト(全リード)の中から、特にフォローが必要なものをリードオブジェクトで管理するイメージです。ライフサイクルステージとは別の軸での管理が可能になります。
はい、むしろ少人数だからこそ仕組み化が重要です。リソースが限られている中で、すべてのリードに同じ労力をかけるのは非効率です。スコアリングで優先順位を付け、ナーチャリングを自動化することで、限られたリソースを最大限に活用できます。
基本的な設定(ライフサイクルステージ・スコアリング・基本ワークフロー)を構築してから、効果が見えるまでに2〜3ヶ月が目安です。データが蓄積されるほど分析の精度が上がるため、6ヶ月〜1年で本格的なPDCAサイクルが回り始めます。