「Webサイトをリニューアルしたいが、HubSpot CMSとWordPressのどちらで構築すべきか迷っている」「WordPressの運用負荷が高く、HubSpotへの移行を検討している」——BtoB企業のWeb担当者やマーケティング責任者にとって、CMS選定は長期的なマーケティング戦略に直結する重要な意思決定です。
WordPressは世界のWebサイトの約43%で利用されている圧倒的シェアのオープンソースCMSです。HubSpot CMSは、HubSpotのContent Hub(旧CMS Hub)として提供されるSaaS型CMSで、CRM・マーケティングオートメーションと一体化している点が最大の特徴です。
本記事では、機能・コスト・セキュリティ・運用負荷・CRM連携の観点から両CMSを比較し、BtoB企業がどちらを選ぶべきかの判断基準を提示します。
HubSpot CMSは、CRM・Marketing Hub・Sales Hub・Service Hubと同一プラットフォーム上で動作するSaaS型CMSです。ホスティング、セキュリティ、アップデートはすべてHubSpotが管理するため、インフラの運用負荷がほぼゼロになります。
最大の特徴は、Webサイトの訪問者データがCRMに自動的に記録される点です。どのコンタクトがどのページを閲覧したか、どのCTAをクリックしたかが営業・マーケティング部門にリアルタイムで共有されます。
WordPressはオープンソースのCMSで、6万以上のプラグインと1万以上のテーマによる高い拡張性が強みです。ホスティング環境やサーバー構成を自由に選択でき、コードレベルでのカスタマイズに制限がありません。
一方で、ホスティング・セキュリティ・プラグイン更新・バックアップなどの運用をすべて自社(または委託先)で管理する必要があります。
| 比較項目 | HubSpot CMS | WordPress |
|---|---|---|
| ホスティング | 含まれる(CDN付き) | 別途契約が必要 |
| SSL証明書 | 自動付与・自動更新 | 自社で取得・管理 |
| ページエディタ | ドラッグ&ドロップ | Gutenberg+ページビルダー |
| テーマ | マーケットプレイス+カスタム | 1万以上のテーマ |
| プラグイン・拡張 | HubSpotアプリマーケットプレイス | 6万以上のプラグイン |
| CRM連携 | 標準搭載(同一基盤) | プラグインで連携 |
| SEO機能 | 標準搭載 | Yoast SEO等が必要 |
| A/Bテスト | Professional以上で標準搭載 | プラグインが必要 |
| スマートコンテンツ | Professional以上で標準搭載 | 困難(複数プラグイン必要) |
| マルチ言語対応 | 標準搭載 | WPMLなどが必要 |
| セキュリティ更新 | HubSpotが自動管理 | 自社で管理 |
| バックアップ | 自動 | 自社で設定が必要 |
HubSpot CMSのドラッグ&ドロップエディタは、マーケティング担当者が技術知識なしでページを編集できるように設計されています。モジュール(部品)を配置し、テキストや画像を差し替えるだけでページが完成します。
WordPressのGutenbergエディタもブロックベースの直感的な編集が可能ですが、デザインの自由度を上げるためにはElementorやDivi等のページビルダープラグインを追加するのが一般的です。
HubSpot CMSには、SEO推奨事項の分析機能が標準搭載されています。タイトルタグ、メタディスクリプション、見出し構造、画像のalt属性などに関するSEO改善提案が記事作成時に自動表示されます。Professional以上ではコンテンツ戦略ツール(トピッククラスター機能)も利用可能です。
WordPressでは、Yoast SEOやRank Mathなどのプラグインで同様のSEO分析が可能です。プラグインの選択肢が豊富で、より細かいSEO設定ができる点はWordPressの強みです。
HubSpot CMSのProfessional以上では、スマートコンテンツ機能が利用できます。訪問者のCRM属性(業種、企業規模、ライフサイクルステージなど)に基づいて、Webサイトの表示内容を動的に切り替えることが可能です。この機能はCRMとの統合があるからこそ実現します。
WordPressでもパーソナライゼーション系プラグインは存在しますが、CRM連携型の動的表示を実現するには複数のプラグインの組み合わせと専門的なカスタマイズが必要です。
| コスト項目 | HubSpot CMS | WordPress |
|---|---|---|
| CMS利用料 | Starter: 月額$20〜 / Professional: 月額$500〜 | 無料(ソフトウェア自体) |
| ホスティング | 含まれる | 月額$10〜$100+(環境による) |
| SSL証明書 | 含まれる | 年間$0〜$200 |
| セキュリティ対策 | 含まれる | WAF等: 月額$20〜$300 |
| テーマ | 無料〜$500 | 無料〜$200 |
| プラグイン | マーケットプレイス(多くは無料) | 有料プラグイン: 年間$100〜$500+ |
| バックアップ | 含まれる | 年間$50〜$200 |
| 保守・運用工数 | ほぼ不要 | 月5〜20時間 |
HubSpot CMSの月額料金は一見高く感じますが、ホスティング・SSL・セキュリティ・バックアップ・保守工数をすべて含んでいます。WordPressは「ソフトウェア無料」ですが、周辺コストと運用工数を積み上げると、HubSpotと同等またはそれ以上のTCOになるケースは珍しくありません。
HubSpot CMSはSaaS型のため、セキュリティ対策をHubSpotが一括管理しています。自動SSL適用、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)標準搭載、グローバルCDNによるDDoS対策、定期的な自動バックアップ、24時間のセキュリティ監視がすべて含まれています。
WordPressはオープンソースのため、セキュリティは自己責任です。Sucuriの調査によれば、2022年にハッキングされたCMSのうち約96%がWordPressだったと報告されています。これはWordPressが脆弱だからではなく、圧倒的なシェアゆえに攻撃対象になりやすいこと、プラグインの更新を怠るユーザーが多いことが主な原因です。
WordPressのセキュリティを確保するためには、本体・テーマ・プラグインの定期更新、WAFの導入、定期バックアップ、セキュリティプラグインの導入が不可欠です。
HubSpot CMSは、ClassPass、Trello(Atlassian)、Frontifyなど、CRMとマーケティングの統合を重視する企業に採用されています。WordPressは、ソニー、TechCrunch、The New York Timesなど、コンテンツの自由度と拡張性を求める企業に広く利用されています。
HubSpotにはWordPressからの移行ツールが用意されており、ブログ記事やページの一括インポートが可能です。ただし、WordPress固有のプラグインに依存したページは手動での再構築が必要です。移行期間はサイト規模によりますが2週間〜2ヶ月が目安です。
HubSpot CMSにはEC機能が標準搭載されていないため、本格的なECサイトには向いていません。決済機能はHubSpotのコマースツール(見積書・支払いリンク)で簡易的に対応可能ですが、商品カタログや在庫管理が必要な場合はShopifyなど専用プラットフォームとの連携を推奨します。
はい。「WebサイトはWordPress、マーケティング・CRMはHubSpot」という併用パターンは多く存在します。HubSpotの公式WordPressプラグインを導入すれば、WordPressサイトにHubSpotのフォーム・CTA・チャットを設置し、リード情報をHubSpot CRMに取り込めます。
Freeプランでもページの作成・公開は可能ですが、カスタムドメインが使えず、HubSpotのブランディングが表示されます。ビジネスサイトとして運用する場合は、最低でもStarterプラン以上を推奨します。
HubSpot CMSにはSEO分析機能とコンテンツ戦略ツールが標準搭載されており、SEOに取り組みやすい環境が整っています。ただしSEOの成果はCMSよりもコンテンツの質と戦略に大きく依存します。HubSpot CMSを使えば自動的にSEOで勝てるということではありません。
HubSpot CMSとWordPressは、それぞれ異なる強みを持つCMSです。BtoB企業がCRMとマーケティングの統合を重視するならHubSpot CMS、デザインの自由度と拡張性を重視するならWordPressが適しています。自社のリソース、技術力、マーケティング戦略を総合的に評価した上で選定してください。
カテゴリ: Content Hub | HubSpot