創業したばかりの企業やスタートアップにとって、CRM選びは悩ましい問題です。Salesforceは高すぎます、スプレッドシートでは限界があります、でも将来の拡張性は確保したい――そんな企業に最適なのがHubSpotのスタータープランです。
月額約1,800円から使え、CRM・マーケティング・営業・サービス・コンテンツ管理まですべてカバーします。この記事では、スタータープランで実際に何ができるのかを機能別に解説し、無料版との違いやプロフェッショナルプランへの移行判断基準まで踏み込みます。
HubSpotのプラン体系は、無料→スターター→プロフェッショナル→エンタープライズの4段階です。スタータープランはその名の通り、有料プランの入口に位置します。
スタータープランは「カスタマープラットフォーム」としてパッケージ化されており、以下のHubがすべて含まれます。
これだけの機能がパッケージされて月額約1,800円(年払い時)から利用できます。スプレッドシートで顧客管理を続けている企業にとっては、この価格で本格的なCRMが手に入る計算です。
スタータープランは1ユーザーあたり月額約1,800円(年払い時の割引適用時)です。正規価格は月額約3,000円程度です。ユーザー数に応じて料金が変動する仕組みで、3人で使えば月6,000円前後、年間でも7万円以内に収まります。
法人向けCRMでこの価格帯は破格と言っていいです。Salesforceのエッセンシャルが月額3,000円/ユーザー(機能限定)であることを考えると、HubSpotスターターの機能網羅性はコストパフォーマンスが圧倒的に高いです。
スタータープランのCRM機能は、無料プランと同様にフル機能が使えます。
HubSpotの左メニューから「CRM」にアクセスすると、コンタクト(顧客の担当者情報)を一覧で管理できます。カスタムプロパティ(カスタム項目)も自由に作成可能で、部署情報や提案商材など、自社に必要なデータを柔軟に追加できます。
営業案件はカンバン形式(看板ボード)で管理します。左から右にカードを動かしていくことで、案件が受注に近づいていく直感的なUIです。Salesforceなど他のCRMにもある機能ですが、HubSpotではスタータープランから使えます。
コンタクト・取引に加えて、会社レコードとチケット(問い合わせ管理)もスタータープランで利用可能です。カスタマーサポートの基本的なワークフローもカバーできます。
マーケティング機能のうち、スタータープランで使える主要機能はメルマガ配信とフォーム作成です。
マーケティングEメール機能を使えば、月1回、2週間に1回といった頻度でメルマガを配信できます。テンプレートを選んで文章を編集し、配信対象(リスト)を指定するだけです。
配信可能な宛先数はマーケティングコンタクトの数に依存します。最小シートでは1,000名までの配信が可能です。コンタクト数を増やすことも可能ですが、その分料金が上がる仕組みです。
スタータープランにアップグレードする最も実感しやすいメリットの一つが、HubSpotロゴの非表示です。無料プランではメール下部にHubSpotのロゴが表示されますが、スタータープランではこれが消えます。顧客に対する信頼性の観点で、BtoBの企業にとっては重要なポイントです。
ウェブサイトに埋め込む問い合わせフォームをHubSpotで作成できます。フォームから送信されたデータはそのままCRMに格納されるため、手動でのデータ入力が不要になります。
フォーム送信後の自動返信メール(サンクスメール)もスタータープランで設定可能です。ただし、送信後にステップメールでナーチャリングしていくマーケティングオートメーション機能はプロフェッショナル以上のプランが必要になります。
スタータープランにはContent Hub(CMS機能)も含まれており、コーポレートサイトやサービスページをHubSpot上で構築できます。
Content Hub Starterではウェブサイトページが最大30件、ランディングページも最大30件、合計60ページまで作成できます。大規模サイトでなければ十分なページ数です。
デザインマネージャーを使えば、再利用可能なモジュール(テンプレート部品)を作成できます。一度デザインを固定してモジュール化すれば、複数ページで同じデザインやコンテンツを使い回せます。
最近ではAI(ClaudeやChatGPT)にHubSpotモジュールのコードを生成させ、デザインマネージャーに貼り付けてリッチなデザインを実現する手法も有効です。スタータープランでもAIとの組み合わせ次第で、かなり高品質なウェブサイトを構築できます。
ブログ機能も含まれているため、コンテンツマーケティングの基盤としても活用可能です。
営業系の機能では、案件管理に加えて以下の機能がスタータープランで利用できます。
営業メールのテンプレートを作成し、毎回の連絡時に呼び出して使える機能です。資料ダウンロード後のフォローや問い合わせ対応など、定型的なメール送信の効率化に効きます。テンプレートにはパーソナライズトークンを使い、宛名などを動的に差し込めます。
営業資料をリンク化して先方に共有できます。閲覧状況のトラッキングも可能で、相手が資料を見たかどうかがわかります。
日程調整リンクを発行し、先方にカレンダーから空き時間を選んでもらう仕組みです。手動での日程調整のやり取りを大幅に削減できます。
営業個人がステップメールを送れる「シーケンス」機能はプロフェッショナル以上のプランが必要です。個人メールからの自動フォローアップを組みたい場合は、プランアップの検討が必要です。
スタータープランではウェブチャットとロジック分岐型のチャットボットが作成可能です。ただし、AIエージェントによる自動応答(ナレッジベース読み込み型)はプロフェッショナル以上のプランが必要になります。
スタータープランでは、HubSpotが用意したテンプレートレポートを利用できます。営業担当ごとの売上実績、電話件数、成約・失注件数など、基本的な営業レポートはデフォルトで揃っています。
カスタムレポート(自社独自のKPI分析やクロス分析)を作成する場合はプロフェッショナル以上のプランが必要です。
HubSpotのAIチャット機能はスタータープランでも利用可能です。案件の分析やコンタクトの過去アクティビティのサマリーなど、日常的なAI活用は追加費用なしでできます。
スタータープランでできないことを明確にしておくことも重要です。
| 機能 | スターター | プロフェッショナル以上 |
|---|---|---|
| CRM基本機能(コンタクト・取引・会社) | 対応 | 対応 |
| メルマガ配信(単発) | 対応 | 対応 |
| ステップメール・ワークフロー自動化 | 非対応 | 対応 |
| カスタムレポート | 非対応 | 対応 |
| シーケンス(営業ステップメール) | 非対応 | 対応 |
| AIエージェント(自動応答) | 非対応 | 対応 |
| キャンペーン管理・ソーシャル連携 | 非対応 | 対応 |
プロフェッショナルへの移行を検討すべきタイミングは以下の通りです。
HubSpotはスタータープランからプロフェッショナルへの移行がシームレスにできます。データ移行やリプレイスの手間が発生しないため、「まずスターターで始めて、必要になったら機能単位でプランアップ」という段階的なアプローチが最も合理的です。
創業時やスタートアップ企業がCRMを導入するなら、HubSpotスタータープランが最も現実的な選択肢です。その理由を整理します。
まずは無料アカウントで操作感を確認し、本格運用を始めるタイミングでスタータープランに移行します。事業の成長に合わせてSales Hubだけプロフェッショナルにする、Marketing Hubだけ上げるといった柔軟な拡張ができるのもHubSpotの強みです。
スプレッドシートやExcelで顧客管理を続けているなら、まずこのプランから始めてみることをおすすめします。