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HubSpotスマートプロパティとは?AIによるCRMデータ自動入力の使い方と活用例

作成者: 今枝 拓海|2026/02/20 15:26:43

 

HubSpotのCRMを使っていて、「会社情報の入力が追いつかない」「従業員数や事業内容を手作業で調べるのが大変」と感じたことはないでしょうか。そんな課題を解決してくれるのが、HubSpotのスマートプロパティという機能です。

スマートプロパティは、AIが自動的にウェブ上の情報をリサーチし、CRMのプロパティ(項目)にデータを入力してくれる機能です。本記事では、実際の画面を使いながら、スマートプロパティの基本から設定方法、具体的な活用例までを詳しく解説します。


HubSpotのスマートプロパティとは

HubSpotのスマートプロパティとは、Breeze(HubSpotのAI)を使用してデータを自動入力できるカスタムプロパティのことです。通常のプロパティは人が手動で値を入力する必要がありますが、スマートプロパティではAIがウェブサイトや社内データを参照して、自動的に情報を取得・入力してくれます。

以下の画面では、会社レコードの一覧に「従業員数」と「事業内容」というスマートプロパティが表示されています。HubSpot Japan株式会社にはすでにAIがデータを入力しており、従業員数「8,800」と事業内容の要約が自動で入っていることがわかります。

スマートプロパティで利用できるデータソースは主に3つあります。1つ目はウェブ調査で、会社のウェブサイトやインターネット上の公開情報を参照します。2つ目はプロパティデータで、同じレコード内の他のプロパティの値を参照して派生情報を生成します。3つ目はコールの文字起こしで、HubSpotに記録された通話の文字起こしデータを元に情報を抽出します。

この機能はProfessional以上のプランで利用可能で、データ管理 > データエージェントというメニューから設定・管理を行います。


スマートプロパティでCRMデータを自動入力してみた【実画面デモ】

ここからは、実際にスマートプロパティを使って会社情報を自動入力する流れを、画面付きで紹介します。

従業員数・事業内容が自動で入力される

スマートプロパティが入力された結果を見てみましょう。以下の画面では、HubSpot Japan株式会社の「事業内容」プロパティにAIが自動生成した内容が表示されています。

事業内容の欄には、「クラウド型CRMプラットフォームを中核として提供し、組織全体で顧客データを一元管理できる基盤を提供している」「マーケティング自動化(MA)、営業支援(SFA)、カスタマーサクセス/サポート、レポーティング・分析など、顧客接点に関わる機能を統合的に提供している」といった内容がまとめられています。

このように、AIが会社のウェブサイトを参照して事業内容を要点としてまとめてくれるため、営業担当者はわざわざ企業のホームページを訪問して情報を手打ちする必要がなくなります。この情報を元にアプローチの事前準備やインサイドセールスの効率化が図れるわけです。

スマートプロパティの一括入力を実行する

スマートプロパティは、まだデータが入っていないレコードに対して一括で入力を実行することもできます。以下の画面では、ソフトバンク株式会社やパーソルホールディングス株式会社に対してスマートプロパティの入力を実行した結果を確認しています。

会社一覧で「スマートプロパティを起動」ボタンをクリックし、入力するプロパティ(この例では「従業員数」と「事業内容」)を選択して実行すると、AIがウェブ上からリサーチをかけて情報を取得してきます。

ソフトバンク株式会社の事業内容には、「コア事業 - 移動通信サービスの提供、携帯端末の販売」といったコア事業の情報に加え、マーケティング・運営代行やイベント会場運営などの関連事業まで要点がまとめられています。パーソルホールディングスについても、「コア事業が人材派遣であったりとか人材紹介」という基本情報から、パーソルキャリアやテンプスタッフなどの事業会社の情報まで含まれており、かなり精度の高い要約がなされています。

AIの情報源(ソース)を確認して精度を検証する

スマートプロパティの大きな利点の1つは、AIがどの情報源を参照してデータを入力したかを確認できる点です。「AIが入力したデータ、本当に正しいの?」という疑問に対して、ソースを提示してくれるのは安心材料になります。

以下の画面は、ソフトバンク株式会社の企業・IR情報ページです。ここには従業員数が「単体:18,895人、連結:55,070人」と記載されています。

AIがスマートプロパティに入力した従業員数と、実際の企業IRページの情報を照合すると、ほぼ一致した数値が取得されていることが確認できます。パーソルホールディングスについても同様に、グループ公式情報のIRページを参照して約78,000人という従業員数を取得しており、連結ベースの数値としてかなり正確な情報が得られています。

このように、スマートプロパティでは「AIがどのウェブサイトを参照して値を特定したか」というソース情報が確認できるため、データの信頼性を担保しながら業務効率化を進めることが可能です。


スマートプロパティの設定方法

スマートプロパティは、HubSpotの管理画面から簡単に作成・設定できます。ここでは、実際の画面を使って手順を説明します。

データエージェント画面へのアクセス

スマートプロパティを管理するには、HubSpotの左メニューから「データ管理」>「データエージェント」の順にアクセスします。以下の画面が、データエージェントの管理画面です。

この画面には、現在作成されているスマートプロパティの一覧が表示されます。上の例では「従業員数」と「事業内容」の2つのスマートプロパティが作成されています。各プロパティには、作成者、オブジェクトタイプ(会社)、フィールドタイプ(数値やテキストエリア)、データソース(ウェブ調査)などの情報が表示されています。

右上の「スマートプロパティーを作成」ボタンから新しいスマートプロパティを追加することもできますし、テキストボックスにやりたいことを入力するだけでAIが自動的にプロパティを生成してくれる機能もあります。

プロンプトの作成と編集

スマートプロパティの中核となるのがプロンプトです。プロンプトとは、AIに「どんな情報を取得してほしいか」を指示するテキストのことです。

以下の画面では、「事業内容」プロパティの編集画面が表示されています。

ここでは、データソースとして「ウェブ調査」が選択されており、プロンプトには「会社の事業内容について調査し、要点をまとめてください。」と入力されています。このように非常にシンプルなプロンプトだけで、AIが適切な情報を取得してまとめてくれるのがスマートプロパティの特徴です。

プロンプトは後から自由に編集できるため、「もう少し詳細にまとめてほしい」「特定の切り口で情報を取得したい」といった場合には、プロンプトを修正してブラッシュアップしていくことが可能です。また、「プロンプトを提案」機能を使えば、AIがプロンプトの改善案を提示してくれるため、プロンプト作成に不慣れな方でも安心です。


料金プランとクレジットの仕組み

スマートプロパティを利用するにはHubSpotのProfessional以上のプランが必要です。Professional以上のプランには、毎月3,000クレジットが無料で付与されます。このクレジットは、1レコードの1プロパティの入力で1クレジットを消費する仕組みです。

例えば、100社の会社レコードに対して「従業員数」と「事業内容」の2つのスマートプロパティを入力する場合、100 × 2 = 200クレジットを消費します。月3,000クレジットあれば、一般的な使い方であれば十分な量です。

大量のレコードに一括で入力する場合はクレジットの消費に注意が必要ですが、まずは優先度の高い項目(従業員数、事業内容、資本金など)に絞って始めることで、クレジットを効率的に活用できます。


スマートプロパティの活用ポイント

ウェブ以外のデータソースも活用できる

スマートプロパティはウェブ上の情報だけでなく、HubSpot内部のデータも情報源として活用できます。たとえば、コールの文字起こしをソースに設定すれば、直近の営業通話の内容からお客様の課題やニーズを自動で抽出・要約することが可能です。同様に、ミーティングの文字起こしや、既存のプロパティデータを参照して新しい情報を導出することもできます。

ウェブ調査と社内データを組み合わせることで、外部情報と内部情報の両面からCRMデータを充実させることができ、より精度の高い顧客理解につなげることができます。

まずはミニマムな項目から始める

スマートプロパティは便利な機能ですが、いきなり大量のプロパティを作成するのではなく、まずはミニマムな項目から始めることをおすすめします。

最初に設定する項目としては、従業員数事業内容資本金などが特におすすめです。これらの情報は営業活動やターゲティングで頻繁に使われますし、手動で調べると意外と手間がかかるため、スマートプロパティの効果を実感しやすい項目です。

少数の項目で運用に慣れたら、徐々に「業種」「設立年」「主要サービス」といった項目を追加していくことで、CRMデータを段階的に充実させていくことができます。


まとめ

HubSpotのスマートプロパティは、CRMデータの入力作業をAIに任せることで、営業やマーケティングの生産性を大幅に向上させる機能です。

本記事で紹介したように、従業員数や事業内容といった基本的な企業情報を自動で取得・要約してくれるだけでなく、情報源の確認による精度検証、プロンプトのカスタマイズによる柔軟な情報取得、ウェブと社内データの組み合わせ活用など、幅広い活用の可能性があります。

CRMにデータがなかなか蓄積されない、データの質が低いという課題を抱えている企業にとって、スマートプロパティは即効性のある解決策となるでしょう。まずは従業員数や事業内容など、ミニマムな項目からぜひお試しください。