HubSpot - AI Studio|HubSpotと生成AIの技術特化メディア

HubSpotナレッジベースの構築方法|FAQサイト・社内Wiki・AIチャットボット連携まで

作成者: 今枝 拓海|1970/01/01 0:00:00

「同じ質問に何度も回答していて、サポートチームの工数が圧迫されている」

「FAQページを作ったものの、情報が古くなって顧客が自力で解決できない」

——カスタマーサポートの現場でこうした課題を抱えている企業は少なくありません。

HubSpotのナレッジベースとは、Service Hub上でFAQ記事やヘルプドキュメントを作成・公開・管理できるセルフサービス型のヘルプセンター構築機能です。 顧客が自分で答えを見つけられるようになることで、チケット数を削減し、サポートチームがより複雑な問い合わせに集中できる環境を作れます。

さらに、Breeze顧客対応エージェント(AIチャットボット)と連携させることで、ナレッジベースの記事をもとにAIが自動回答する仕組みも構築可能です。

この記事では、ナレッジベースの構築手順からカテゴリ設計、AIチャットボット連携、社内Wiki的な活用法まで詳しく解説します。


この記事でわかること

  • ナレッジベースの基本概念と利用可能なプラン
  • 記事の作成・カテゴリ設計の手順
  • AIチャットボット(Breeze顧客対応エージェント)との連携方法
  • 社内Wiki・社内ナレッジとしての活用パターン
  • ナレッジベースの効果測定と改善サイクル

HubSpotのナレッジベースとは?

ナレッジベースは、Service Hub Professional以上で利用できるセルフサービスポータル機能です。顧客向けのFAQサイトやヘルプセンターをHubSpot上で構築し、検索可能な記事ライブラリとして公開できます。

Salesforceで言えば「Salesforce Knowledge」に相当する機能です。HubSpotの場合、CRMのコンタクトデータと連動しているため、どの顧客がどの記事を閲覧したかをトラッキングでき、サポート対応にも活用できる点がポイントになってくるかなと思います。

利用可能なプラン

プラン ナレッジベース 記事数上限 カスタムドメイン 分析機能
Free / Starter ×
Professional 5,000記事
Enterprise 10,000記事 ○(高度)

注意: Starterプランでは標準のナレッジベース機能は提供されていません。ただし、ブログ機能を疑似的なナレッジベースとして活用する方法もあります。


ナレッジベースの構築手順

ステップ1: ナレッジベースの初期設定

  1. HubSpotナビゲーションから「サービス」→「ナレッジベース」を選択
  2. 初回セットアップでテンプレートとブランドカラーを設定
  3. ナレッジベースのURL(ドメイン/サブドメイン)を設定
  4. ヘッダー・フッター・ナビゲーションをカスタマイズ

ステップ2: カテゴリとサブカテゴリの設計

ナレッジベースの使いやすさはカテゴリ設計で決まります。顧客が直感的に目的の記事にたどり着けるよう、以下の観点で設計してください。

設計の観点 具体例
製品・サービス別 プランA、プランB、オプション機能
利用シーン別 初期設定、日常操作、トラブルシューティング
ユーザー種別 管理者向け、一般ユーザー向け、開発者向け

カテゴリは最初から完璧にする必要はありません。まずは3〜5カテゴリで始めて、記事が増えてきたら分割・統合するスモールスタートのアプローチがおすすめです。

ステップ3: 記事の作成

  1. 「ナレッジベース」→「記事を作成」をクリック
  2. タイトル、カテゴリ、サブカテゴリを設定
  3. リッチテキストエディタで本文を執筆
  4. 画像・動画・表を挿入
  5. SEOメタ情報(タイトルタグ、メタディスクリプション)を設定
  6. 公開設定(公開/非公開/パスワード保護)を選択

記事の書き方のコツ

  • 1記事1トピック: 複数の問題を1記事にまとめない
  • 結論ファースト: 冒頭に答えを書き、詳細は後で説明
  • ステップバイステップ: 手順は番号付きリストで
  • スクリーンショット活用: 実画面のキャプチャで直感的に理解できるように
  • 検索キーワード意識: 顧客が使う言葉でタイトルを付ける

ステップ4: 公開とインデックス

記事を公開すると、ナレッジベースのトップページに自動的に反映されます。検索バーからの全文検索も可能になり、顧客はキーワードで目的の記事を探せるようになります。


AIチャットボット(Breeze顧客対応エージェント)との連携

ナレッジベースの真価が発揮されるのは、Breeze顧客対応エージェントとの連携です。

連携の仕組み

Breeze顧客対応エージェントは、ナレッジベースの記事をAIが学習し、顧客の質問に対して自動で回答を生成するRAG(Retrieval-Augmented Generation)型のAIチャットボットです。

  1. 顧客がチャットで質問を入力
  2. AIがナレッジベースの記事を検索・参照
  3. 記事の内容をもとに回答を生成して返答
  4. 解決しない場合は人間の担当者にエスカレーション

ここが結構ミソになってくるのですが、ナレッジベースの記事品質がAIチャットボットの回答品質を決定するという点です。記事が正確で網羅的であれば、AIも正確に回答できます。逆に、記事が不十分だとAIの回答品質も下がります。

設定手順

  1. 「自動化」→「AIエージェント」に移動
  2. 顧客対応エージェントを作成
  3. ナレッジソースとしてナレッジベースを指定
  4. チャットフローに顧客対応エージェントを配置
  5. テストチャットで回答精度を確認

AI回答の品質を上げるコツ

  • 記事のタイトルを質問形式にする(「パスワードを忘れた場合はどうすればいいですか?」)
  • 回答を記事の冒頭に明確に記載する(AIが引用しやすい)
  • 専門用語には簡潔な定義を付ける
  • 定期的に記事を更新して情報の鮮度を保つ

社内Wiki・社内ナレッジとしての活用

ナレッジベースは顧客向けだけでなく、社内のナレッジ共有にも活用できます。

社内向けの活用例

  • 営業ナレッジ: よくある商談の質問と回答、競合比較情報
  • オンボーディング: 新入社員向けの業務マニュアル・ツール操作ガイド
  • サポートナレッジ: サポートチーム内の対応マニュアル・エスカレーション基準

アクセス制限の設定

社内向けナレッジベースを作る場合、記事のアクセスを制限できます。

  • パスワード保護: 特定の記事にパスワードを設定
  • 会員限定(CMS会員機能): ログインが必要なナレッジベースを構築
  • IP制限: Enterprise プランで社内ネットワークからのみアクセス許可

効果測定と改善サイクル

把握すべき主要指標

指標 意味 改善アクション
記事別閲覧数 どの記事がよく読まれているか 人気記事の品質を維持・強化
検索キーワード 顧客がどんな言葉で検索しているか 検索ワードに合致する記事を新規作成
0件ヒット検索 検索結果がなかったキーワード そのトピックの記事を早急に作成
記事の評価(Good/Bad) 記事が役に立ったかどうかの評価 低評価記事の内容を改善
チケット数の推移 ナレッジベース導入前後のチケット量 セルフサービス比率の改善

「0件ヒット検索」のデータは非常に重要です。顧客が探しているのに記事がないトピックが一目瞭然になるため、優先的に記事を追加すべき分野を特定できます。


注意点・よくある間違い

記事を作って放置する

ナレッジベースは「作って終わり」ではありません。製品のアップデートや仕様変更に合わせて定期的に記事を見直す運用が必須です。四半期に1回のレビューサイクルを設けることをおすすめします。

カテゴリが多すぎる

カテゴリを細分化しすぎると、顧客がどこを見ればいいか迷ってしまいます。トップレベルのカテゴリは5〜7個程度に抑え、サブカテゴリで詳細を分ける構造がベストです。

社内用語で書いてしまう

顧客が使う言葉と社内で使う専門用語は異なります。顧客がどんなキーワードで検索するかを意識して、タイトルや本文を記述しましょう。


まとめ

HubSpotのナレッジベースを構築することで、顧客のセルフサービス率を高め、サポートチームの工数を削減できます。さらに、Breeze顧客対応エージェントと連携させれば、AIが24時間自動で顧客の質問に回答する仕組みを実現できます。

まずは問い合わせ頻度の高いトピックから10〜20記事を作成し、段階的に記事数を増やしていくアプローチがおすすめです。ナレッジが蓄積されるほどAIの回答精度も上がり、チケット管理の負荷軽減にもつながります。


よくある質問(FAQ)

Q1. ナレッジベースはどのプランから利用できますか?

Service Hub Professional以上で利用できます。Starterプランでは標準機能としては提供されていませんが、ブログ機能を活用した疑似的なナレッジベースの構築は可能です。

Q2. ナレッジベースの記事数に上限はありますか?

Professionalプランでは5,000記事、Enterpriseプランでは10,000記事が上限です。一般的な企業のFAQサイトであれば十分な数かなと思います。

Q3. AIチャットボットとの連携にはどのプランが必要ですか?

Breeze顧客対応エージェントはService Hub Professional以上で利用できます。ナレッジベースの記事をAIのナレッジソースとして指定することで、自動回答の仕組みを構築できます。

Q4. 多言語のナレッジベースは作成できますか?

はい、HubSpotでは多言語グループ機能を使って複数言語のナレッジベースを構築できます。日本語と英語のFAQサイトを並行運用するといったケースに対応可能です。

Q5. ナレッジベースの記事はSEOに効果がありますか?

はい、ナレッジベースの記事は検索エンジンにインデックスされるため、SEO効果が期待できます。「[製品名] 使い方」「[製品名] エラー」などのロングテールキーワードでの流入が見込めます。メタ情報やURL構造も最適化できるので、SEOツールと併用するとより効果的です。