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人材業界のHubSpot活用法|候補者管理・求人企業対応・マッチングをCRMで一元化

作成者: 今枝 拓海|1970/01/01 0:00:00

「候補者データがExcelに散在していて、適切なタイミングで求人を案内できていない」「求人企業との対応履歴が担当者の頭の中にしかない」「紹介実績のレポーティングに毎月膨大な時間がかかる」——人材業界ならではの管理課題を抱えている企業は多いかなと思います。

人材業界(人材紹介・人材派遣・求人メディア)におけるHubSpot活用とは、候補者(求職者)管理、求人企業(クライアント)管理、マッチング管理という人材ビジネス特有の三者間プロセスをCRMで一元化し、成約率の向上と業務効率化を実現することです。

この記事では、人材業界の企業がHubSpotを導入する際の設計思想と、具体的な活用パターンを解説します。


この記事でわかること

  • 人材業界に適したHubSpotのデータ設計
  • 候補者(求職者)管理の仕組み
  • 求人企業(クライアント)管理の方法
  • マッチング・紹介プロセスのパイプライン設計
  • ナーチャリング・メール自動化の活用
  • よくある質問(FAQ)

人材業界の業務とHubSpotの対応

人材業界のビジネスは、候補者と求人企業の双方を管理する「両面型」のプロセスが特徴です。

業務領域 現状の課題 HubSpotでの解決策
候補者管理 Excelやメールで管理、検索性が低い コンタクト + カスタムプロパティで一元管理
求人企業管理 担当者ごとに情報が分断 会社オブジェクトで全社共有
マッチング管理 候補者と求人の紐付けがExcelで煩雑 取引パイプラインで進捗管理
候補者ナーチャリング 求人案内が一斉配信、パーソナライズなし セグメント配信 + ワークフロー
レポーティング 月次レポートの作成に丸1日かかる ダッシュボードでリアルタイム可視化

スプレッドシートで管理されていると、手動での変更が多くなってしまいますし、過去のやり取りを確認しようとしても情報が分散してしまいます。HubSpotに全部入っていれば、候補者の応募履歴や面談記録が一覧で確認できます。


データ設計: 三者間リレーションの構築

人材業界のCRM設計では、「候補者」「求人企業」「紹介案件」の三者間のリレーションが結構ミソになってきます。

オブジェクト設計

HubSpotオブジェクト 人材業界での活用 主要プロパティ
コンタクト 候補者(求職者) 氏名、職種、経験年数、希望年収、転職時期、スキル
会社 求人企業(クライアント) 企業名、業種、規模、担当営業
取引 紹介案件(マッチング) 候補者×求人のペア、選考ステージ、年収提示額
チケット 候補者からの問い合わせ 相談内容、対応状況

関連付け設計

候補者(コンタクト)
    ↕ 関連付け
紹介案件(取引)← 候補者と求人企業の双方に関連付け
    ↕ 関連付け
求人企業(会社)

1人の候補者が複数の求人に応募するケース、1つの求人に複数の候補者を紹介するケースを、取引オブジェクトの関連付けで柔軟に管理できます。


候補者(求職者)管理の設計

カスタムプロパティ例

プロパティ 種類 用途
現職 テキスト 現在の会社名・役職
職種カテゴリ ドロップダウン 営業/エンジニア/マーケ/管理等
経験年数 数値 業界経験の長さ
希望年収 数値 転職時の希望年収
転職希望時期 ドロップダウン 即時/3か月以内/半年以内/情報収集中
候補者ステータス ドロップダウン アクティブ/パッシブ/転職済み/辞退
保有スキル 複数チェックボックス 技術スキルの分類
登録チャネル ドロップダウン Web応募/紹介/スカウト/イベント

ビュー(フィルター)の活用

候補者リストを目的別にフィルタリングして表示するビューを作成します。

  • 即時転職希望者: 転職時期=即時 × ステータス=アクティブ
  • エンジニア候補者: 職種=エンジニア × 経験3年以上
  • 年収800万以上: 希望年収≧800万 × ステータス=アクティブ
  • 1か月以内に接触していない候補者: 最終活動日>30日前

紹介プロセスのパイプライン設計

推奨パイプライン

ステージ 定義 確度 必須プロパティ
候補者推薦 求人企業に候補者を推薦 10% 推薦日、推薦理由
書類選考中 企業側で書類を審査中 20% 書類提出日
一次面接 一次面接の実施 35% 面接日、面接官
二次面接 二次面接・最終面接 50% 面接日
内定 企業から内定が出た 80% 提示年収、入社予定日
内定承諾 候補者が内定を承諾 95% 承諾日
入社 候補者が入社完了 100% 入社日、確定年収
辞退・不採用 選考辞退または不採用 0% 辞退/不採用理由(必須)

各ステージの定義を社内で明確に共有し、属人化を防ぐことがポイントです。パイプライン設計では、受注率が変化するポイントでステージを分けるのが基本的な考え方です。

紹介手数料の管理

取引の金額フィールドに紹介手数料(年収の30〜35%等)を設定し、パイプラインのフォーキャスト機能で売上予測を行います。


ナーチャリング・メール自動化

候補者向けナーチャリング

転職市場では、すぐには転職しない「パッシブ候補者」の比率が高いため、長期的なナーチャリングが重要です。

ワークフロー例: パッシブ候補者の定期フォロー

  1. 候補者ステータスが「情報収集中」に設定
  2. 月1回、業界別の求人マーケットレポートを自動配信
  3. 新着求人のうち、候補者の職種・希望条件にマッチするものを通知
  4. メール開封→料金ページ閲覧のスコア加点→一定スコアでコンサルタントに通知

求人企業向けナーチャリング

  • 新規取引先の開拓: メール+電話のシーケンスで新規アプローチ
  • 既存クライアントへの定期レポート: 月次の採用マーケット情報配信
  • 紹介実績のフィードバック: ワークフローで定期的に満足度アンケートを送信

レポート・ダッシュボード設計

人材業界向けKPIダッシュボード

レポート 指標
コンサルタント別・紹介数 担当者ごとの推薦件数
コンサルタント別・成約数/率 担当者ごとの成約件数と率
求人企業別・選考通過率 企業ごとの書類通過率、面接通過率
職種別・マッチング状況 職種カテゴリ別の候補者数と求人数
月次売上推移 紹介手数料の月次推移
パイプライン予測 ステージ別の加重売上予測
辞退・不採用理由の分析 理由カテゴリ別の円グラフ

ダッシュボードを「コンサルタント個人用」「マネージャー用」「経営会議用」と分けて運用すると、それぞれのシーンで使いやすくなります。

辞退・不採用理由の分析

辞退理由や不採用理由をカテゴリ分類(年収不一致/スキルミスマッチ/社風不一致/他社決定/タイミング等)して蓄積し、パターンを分析します。この情報を基に、推薦精度の向上やクライアントへのフィードバックに活かせます。


まとめ

人材業界のHubSpot活用は、候補者管理、求人企業管理、紹介パイプラインの三位一体で設計することが成功の鍵です。

まずはコンタクト(候補者)と会社(求人企業)のデータ登録から始め、紹介案件のパイプラインを構築してください。段階的にナーチャリングのワークフローやレポートを追加していくことで、属人的な管理からチーム全体で成約率を上げる仕組みに変わっていきます。

CRMにデータが蓄積されるほど、コンサルタント別の実績分析や辞退理由のパターン把握が精度を増し、紹介品質の向上につながります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 人材業界にはATSやRPOツールがありますが、HubSpotとの使い分けは?

ATS(Applicant Tracking System)は応募管理・選考管理に特化しており、大量採用の管理に強みがあります。HubSpotは候補者のナーチャリング、求人企業の営業活動管理、マーケティング(集客→CV→ナーチャリング)まで含めた包括的な管理に向いています。ATSとHubSpotをAPI連携で併用するパターンも有効です。

Q2. 候補者の個人情報をHubSpotに入れるのは問題ないですか?

HubSpotはGDPR対応のプライバシー設定機能を備えており、同意管理やデータ削除リクエストへの対応が可能です。ただし、自社のプライバシーポリシーにCRMでの個人情報管理を明記し、候補者から適切な同意を取得してください。

Q3. 小規模な人材紹介会社でもHubSpotは活用できますか?

はい、活用できます。Starterプラン(月1,800円〜)でも、コンタクト管理、取引パイプライン、基本的なメール配信は利用可能です。3名程度の会社であれば月6,000円程度で始められるので、コストメリットも高いかなと思います。

Q4. 候補者の「転職意欲」をどう管理すればいいですか?

カスタムプロパティ「転職希望時期」と「候補者ステータス」の組み合わせで管理するのが基本です。さらに、スコアリング機能を使って、メール開封やサイト閲覧などの行動データに基づく「転職意欲スコア」を自動算出し、スコアが高い候補者を優先的にフォローする仕組みを作ると、コンサルタントの効率が上がります。