「見積書はExcelで作成して、請求書は別のシステムで発行、入金管理はまたスプレッドシート」
「商談は受注したのに、請求漏れや回収遅延が起きてしまう」
——こうした収益管理の分断に課題を感じている企業は少なくありません。
HubSpot Commerce Hub(コマースハブ)とは、HubSpotのCRMプラットフォーム上で見積もり作成・請求書発行・決済リンク・サブスクリプション管理を一元的に行える収益管理機能です。 商談から入金までのプロセスをCRM内で完結させることで、収益の可視化と業務効率化を同時に実現します。
この記事では、Commerce Hubの主要機能、具体的な設定手順、料金体系、そして活用のベストプラクティスまで詳しく解説します。
出典: HubSpot (hubspot.com/products/commerce)
Commerce Hubは、HubSpotのCRMに統合された収益管理ツール群です。取引(Deal)の情報と連動し、見積もり作成から決済回収、サブスクリプション管理までを一気通貫で管理できます。
Salesforceで言えば、CPQ(Configure, Price, Quote)とBillingに相当する機能をCRM内に内包しているイメージです。ただし、HubSpotの場合はノーコードで設定できる点が結構ミソになってくるかなと思います。
| 機能 | 概要 | 利用可能プラン |
|---|---|---|
| 見積もり(Quotes) | テンプレートベースで見積書を作成・送付。電子署名・承認フロー対応 | 無料〜 |
| 請求書(Invoices) | CRMデータと連動した請求書の作成・送付・入金追跡 | 無料〜 |
| 決済リンク(Payment Links) | 共有可能な決済ページURLを生成。1回限り/定期払い対応 | 無料〜 |
| サブスクリプション管理 | 定期課金の作成・変更・キャンセルを一元管理 | Professional〜 |
| 商品ライブラリ(Products) | 商品・サービスの価格・SKU・説明を一括管理 | 無料〜 |
Commerce Hubの最大の価値は、商談データと収益データが同じCRM上で紐づくことです。見積もりを作成すれば取引レコードに関連付けられ、請求書を送れば入金ステータスがリアルタイムで更新されます。
スプレッドシートや外部の請求システムで管理していると、「この取引の入金はどうなっている?」と確認するために複数のツールを行き来する必要がありました。Commerce Hubならダッシュボード1つで収益全体を把握できます。
パイプライン上で取引ステージが「受注」に移行したタイミングで、ワークフローを使って請求書を自動発行するといった仕組みを構築できます。これにより、営業担当者の手作業を減らし、請求漏れのリスクを最小限に抑えられます。
決済リンクを使えば、メールやWebページに埋め込むだけで顧客がオンラインで支払いを完了できます。特にBtoBの少額決済やサブスクリプション型サービスでは、請求書郵送 → 振込確認という従来のフローを大幅に短縮できるのがポイントになってくるかなと思います。
Commerce Hubで決済を受け付けるには、HubSpot決済機能またはStripeのいずれかを接続する必要があります。
注意点: HubSpot決済機能は現在、米国の銀行口座を持つ企業のみが対象です。日本企業の場合はStripe連携を利用いただく形になるかなと思います。
見積もりや請求書で使用する商品・サービスを登録します。
商品ライブラリを整備しておくと、見積もり作成時にドロップダウンから選択するだけで済むので、入力ミスの防止にもつながります。
Professionalプラン以上では、見積もりの承認フローを設定できます。例えば「割引率10%以上の場合はマネージャー承認が必要」といったルールを組み込むことで、値引きのガバナンスを効かせられます。
請求書にはオンライン決済リンクを埋め込むことも可能です。顧客がリンクをクリックするだけでカード決済やACH決済が完了し、HubSpot上で入金ステータスが自動更新されます。
2025年9月の改定により、Commerce Hubの料金体系が変更されました。
| プラン | 月額料金 | 主な機能 |
|---|---|---|
| 無料 | 0円 | 見積もり(基本)、請求書、決済リンク、商品ライブラリ |
| Professional | 要確認 | 見積もり承認、カスタムテンプレート、自動請求、高度なレポート |
| Enterprise | 要確認 | 上記に加え、カスタムオブジェクト連携、高度なワークフロー |
注意: 2025年9月以降、Starterプランの提供は廃止されました。無料プランで基本機能を試し、承認フローや自動化が必要になったらProfessionalプランにアップグレードする形が一般的です。
SaaS企業のようにMRR(月次経常収益)を管理する場合、Commerce Hubのサブスクリプション機能が活躍します。取引レコードにサブスクリプションを紐づけることで、MRRの可視化がCRM上で完結します。
HubSpotで請求書を発行し、freee連携を使って会計データを自動同期するパターンも有効です。二重入力を排除し、営業と経理の間のデータ受け渡しをスムーズにできます。
展示会で獲得したリードに対して即座に決済リンクを送付し、その場で購入を完了してもらうといった使い方も可能です。CRMに顧客データが蓄積されるため、後続のナーチャリングにもシームレスにつなげられます。
HubSpot独自の決済機能は米国限定です。日本企業はStripe経由での決済になりますので、Stripeアカウントの準備が必要です。
見積もりのリンクが公開されてしまうリスクや、承認機能があまり強くない点は正直な限界として認識しておく必要があります。大型案件や厳密な承認フローが必要な場合は、運用ルールでカバーするか、専用のCPQツールとの連携を検討してください。
すでにfreeeやマネーフォワードで請求管理をしている場合、Commerce Hubに完全移行するか併用するかの判断が必要です。まずはスモールスタートで一部の商材からCommerce Hubを試し、段階的に範囲を広げていくのがおすすめです。
Commerce Hubは、HubSpotのCRM上で見積もり・請求書・決済・サブスクリプションを一元管理できる収益管理機能です。商談データと収益データが同じプラットフォームで紐づくことで、スプレッドシートや複数ツールを使い分ける手間を大幅に削減できます。
まずは無料プランで商品ライブラリと見積もり機能を試していただき、自動化や承認フローが必要になったタイミングでProfessionalプランを検討する——という段階的なアプローチがおすすめです。
CRMにデータが蓄積されるほど、レポート・ダッシュボードでの収益分析の精度が上がり、より正確な経営判断ができるようになります。ぜひトライいただければなと思います。
はい、見積もり作成・請求書発行・決済リンクの基本機能は無料プランで利用できます。ただし、見積もりの承認フローや自動請求などの高度な機能はProfessionalプラン以上が必要です。
HubSpot独自の決済処理機能は現在、米国の銀行口座を持つ企業が対象です。日本企業の場合はStripeと連携して決済を受け付ける形になります。Stripeは日本でも利用可能なため、実質的にオンライン決済の受付は可能です。
直接的な標準連携ではありませんが、連携アプリ「Sync」やZapier/MakeなどのiPaaSを使うことで、HubSpotの請求データをfreeeに連携することが可能です。詳しくはHubSpotとfreee連携の記事をご覧ください。
SalesforceのCPQは高度なカスタマイズが可能な反面、設定に専門知識が必要で導入コストも高くなりがちです。HubSpotのCommerce Hubはノーコードで設定でき、CRM基盤に統合されている点が特徴です。ただし、複雑な価格設定やバンドル構成が必要な場合は、SalesforceのCPQのほうが柔軟性が高いかなと思います。
段階的に移行することをおすすめします。まずは新規案件からCommerce Hubを使い始め、既存の請求システムと並行運用しながら徐々に移行範囲を広げていく形が現実的です。商品ライブラリの整備から始めるとスムーズに進められるかなと思います。