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無料CRMはどこまで使える?無料プランの機能・制限・有料移行タイミングを徹底検証

作成者: |2026/02/24 2:18:54

「無料CRMを導入したが、すぐに機能の壁にぶつかって結局使えなかった」

「無料プランで始めたら、気がつけば有料プランへの移行を迫られている」

「そもそも無料CRMで本当にまともな顧客管理ができるのか疑問だ」

——コスト意識の高い中小企業の経営者や導入担当者ほど、こうした不安を抱えています。

CRM市場では、HubSpot、Zoho CRM、Bitrix24、Freshsales、HoneyBookなど、多くのベンダーが無料プランを提供しています。しかし、「無料」の裏には必ず制限があります。ユーザー数、レコード数、機能制限、ストレージ容量——これらの制約を事前に理解せずに導入すると、「使い始めてから限界に気づく」という無駄な手戻りが発生します。

本記事では、主要な無料CRM 5製品を実際に検証し、「何人まで使えるか」「何件まで登録できるか」「何ができないのか」を具体的な数値で比較します。さらに、無料プランから有料プランへ移行すべきタイミングの判断基準も明確にします。

この記事でわかること

  • 無料CRM 5製品(HubSpot、Zoho CRM、Bitrix24、Freshsales、HoneyBook)の機能と制限の詳細比較
  • 無料CRMの「本当の限界ライン」——何人・何件・何ができないかの具体値
  • 無料CRMで十分な企業と、有料プランが必要な企業の見極め方
  • 有料プランへの移行タイミングを判断する5つのシグナル
  • 無料CRMを最大限に活用するための運用テクニック
  • 0円で始める顧客管理の段階的ステップアップ戦略

無料CRMの全体像|なぜ無料プランが存在するのか

無料CRMの画面例:コンタクト管理とパイプライン(出典:HubSpot)

ベンダーが無料プランを提供する理由

CRMベンダーが無料プランを提供するのは、慈善事業ではありません。明確なビジネスモデルがあります。

戦略 内容 ユーザーへの影響
フリーミアム戦略 無料で使い始めさせ、成長に応じて有料化を促す 使い込むほど移行コストが高くなる
プロダクト主導型成長(PLG) 製品体験を通じて自然に有料機能の必要性を感じさせる 機能制限が導線として設計されている
データロックイン 蓄積されたデータが他社への移行障壁になる 乗り換え時にデータ移行コストが発生する

この構造を理解したうえで、無料プランの「使える範囲」を見極めることが重要です。

無料CRMに共通する3つの制限カテゴリ

無料CRMの制限は、大きく3つのカテゴリに分類できます。

  1. 量的制限:ユーザー数、レコード数、ストレージ容量の上限
  2. 機能制限:自動化、レポート、カスタマイズなどの高度機能の制限
  3. サポート制限:電話サポートなし、チャットサポートの時間制限、コミュニティのみ

無料CRM 5製品の実機検証レポート

検証方法と評価基準

本記事では、以下の5製品の無料プランを実際に検証しました。評価基準は「中小企業の営業チーム(5〜10名)が日常業務で使えるかどうか」です。

評価軸 確認項目
登録容量 コンタクト数、企業数、取引数の上限
ユーザー数 無料で利用できるユーザー数の上限
営業機能 パイプライン管理、メール追跡、タスク管理
マーケティング機能 フォーム、Eメール配信、ランディングページ
レポート機能 ダッシュボード、カスタムレポートの利用可否
カスタマイズ カスタム項目、ワークフロー自動化
外部連携 メール連携、カレンダー連携、API利用

製品別 詳細検証結果

1. HubSpot Free CRM

HubSpotの無料プランは、業界で最も充実した無料CRMの1つです。

項目 無料プランの内容
ユーザー数 制限なし(無制限)
コンタクト数 最大1,000,000件(マーケティング機能の対象は上限あり)
企業数 制限なし
取引パイプライン 1本
メール追跡 月200件の通知
フォーム 制限付きで利用可
ミーティングリンク 1リンク
レポート 標準ダッシュボードのみ(カスタム不可)
ストレージ ドキュメントあたり250MB
ブランディング HubSpotロゴ表示あり

強み:ユーザー数無制限は他社にない圧倒的な優位点。コンタクト数の上限も実質的に中小企業には十分。基本的なCRM機能(コンタクト管理、企業管理、取引管理、タスク管理)は無料で全て利用可能。

限界:取引パイプラインが1本のみのため、複数の営業プロセス(新規・既存・アップセル等)を分けて管理できない。カスタムレポートが作成できず、標準レポートのみ。メール送信にHubSpotブランドが表示される。

2. Zoho CRM Free

Zoho CRMの無料プランは少人数チームに特化した設計です。

項目 無料プランの内容
ユーザー数 最大3名
レコード数 モジュールあたり5,000件
ワークフロー 1件
カスタム項目 モジュールあたり10項目
メール連携 あり
レポート 標準レポートのみ
API 利用不可
ストレージ 1GB(組織全体)
ウェブフォーム 1件

強み:少人数であれば基本的なCRM機能は一通り使える。Zohoの他サービス(Zoho Mail、Zoho Docs等)との連携が可能。

限界:3名を超えると即座に有料プランが必要。レコード数5,000件はBtoB企業なら1〜2年で到達する可能性がある。API利用不可のため、外部ツールとの連携が困難。ストレージ1GBはファイル添付が多い業務では不足する。

3. Bitrix24 Free

Bitrix24はCRMだけでなく、プロジェクト管理やコミュニケーション機能も統合した総合プラットフォームです。

項目 無料プランの内容
ユーザー数 制限なし(無制限)
CRMレコード数 制限なし
ストレージ 5GB
営業パイプライン 利用可
タスク管理 利用可
メール連携 あり
ウェブサイトビルダー 利用可
カスタムフィールド 制限あり
自動化ルール 制限あり
カレンダー 利用可

強み:ユーザー数とCRMレコード数が無制限。CRM以外にもタスク管理、チャット、ビデオ通話など、業務ツールが統合されている。

限界:多機能すぎてUIが複雑。CRM専用ツールと比べると営業管理の細かさに欠ける。日本語のサポートが限定的。自動化やレポートの高度な機能は有料プラン限定。

4. Freshsales Free(Freshworks CRM)

Freshsalesは、Freshworksが提供する営業特化型CRMです。

項目 無料プランの内容
ユーザー数 最大3名
コンタクト数 制限なし
アカウント管理 利用可
ライフサイクルステージ 利用可
メール連携 あり
電話機能 内蔵(着信のみ)
モバイルアプリ 利用可
チャットボット 利用不可
ワークフロー自動化 利用不可
複数パイプライン 利用不可

強み:コンタクト数が無制限。電話機能が組み込まれている点はユニーク。UIがシンプルで直感的に操作しやすい。

限界:3名の上限は小規模チームでもすぐに制約になる。ワークフロー自動化が使えないため、手動運用が前提。日本語対応が不十分で、一部メニューが英語のまま残る場合がある。

5. HoneyBook Free Trial → 無料機能

HoneyBookは、フリーランスや小規模ビジネス向けの顧客管理・プロジェクト管理ツールです。

項目 無料トライアルの内容
トライアル期間 7日間
ユーザー数 1名(トライアル中)
請求書作成 利用可
契約書テンプレート 利用可
予約管理 利用可
自動化ワークフロー トライアル中のみ
顧客ポータル トライアル中のみ
日本語対応 非対応

強み:請求書作成・契約書・予約管理が統合されたオールインワン。フリーランスや個人事業主には便利。

限界:厳密には「無料CRM」ではなく、無料トライアル後は有料化が必須。日本語非対応。BtoB営業チーム向けのCRM機能は限定的。日本市場での利用には向かない。

無料CRM 5製品の総合比較表

機能・制限の横断比較

比較項目 HubSpot Zoho CRM Bitrix24 Freshsales HoneyBook
ユーザー数上限 無制限 3名 無制限 3名 1名(トライアル)
レコード数上限 100万件 5,000件/モジュール 無制限 無制限
パイプライン 1本 1本 利用可 1本
メール追跡 ○(月200件)
ワークフロー自動化 × △(1件) × ×
カスタムレポート × × × ×
API連携 × × ×
日本語対応 ×
モバイルアプリ
サポート コミュニティ メール コミュニティ メール

用途別おすすめの無料CRM

用途・条件 おすすめ無料CRM 理由
5名以上のチームで使いたい HubSpot ユーザー数無制限で人数制約なし
3名以下でコスパ重視 Zoho CRM 少人数なら必要十分な機能を提供
CRM以外のツールも統合したい Bitrix24 タスク管理・チャット・CRMが一体
営業に特化してシンプルに使いたい Freshsales UIがシンプルで営業管理に集中
フリーランス・個人事業主 HoneyBook 請求・契約・予約管理が一体(ただし有料前提)

無料CRMの「本当の限界ライン」

量的な限界

無料CRMの量的制限は、事業の成長に伴って確実にぶつかる壁です。

指標 限界の目安 該当する無料CRM
ユーザー3名超 4人目から有料化が必須 Zoho CRM、Freshsales
レコード5,000件超 データが入らなくなる Zoho CRM
ストレージ1〜5GB超 ファイル添付ができなくなる Zoho CRM、Bitrix24
パイプライン2本以上 営業プロセスを分けて管理できない HubSpot、Zoho CRM、Freshsales

機能的な限界

量的な限界よりも先に痛感するのが、機能的な限界です。

レポート・分析の壁

無料プランでは、カスタムレポートやダッシュボードのカスタマイズができない製品がほとんどです。標準レポートだけでは「自社の営業KPIをモニタリングする」という基本的な要件すら満たせない場合があります。

自動化の壁

「リードが登録されたら担当者に自動通知」「取引ステージが変わったらタスクを自動作成」といったワークフロー自動化は、無料プランではほぼ利用不可です。手動での運用が前提となり、営業効率が上がりません。

カスタマイズの壁

カスタム項目の追加に制限がある場合、自社の業務に合わせた情報管理ができません。「業種」「流入経路」「商材カテゴリ」など、自社特有の管理項目が多い企業ほど、この制限が重くなります。

サポートの限界

無料プランでは、基本的に電話サポートは提供されません。問題が発生した際はコミュニティフォーラムやヘルプドキュメントで自力解決する必要があります。CRM運用に精通した社員がいない場合、この制限は見えないコストとして重くのしかかります。

有料プランへの移行タイミング|5つの判断シグナル

無料CRMの画面例:コンタクト管理とパイプライン(出典:HubSpot)

シグナル1: ユーザー数の上限に到達した

組織の拡大や部門横断での利用拡大により、無料プランのユーザー数上限に到達した場合は、有料プランへの移行が必須です。HubSpotのようにユーザー数無制限のCRMを利用している場合、このシグナルは該当しません。

シグナル2: 営業プロセスが複雑化した

1本のパイプラインでは管理しきれない営業プロセス(新規開拓、既存深耕、パートナー経由、アップセル等)が発生した場合、複数パイプラインを使える有料プランが必要です。

シグナル3: 「CRMのデータを見て判断する」文化が根付いた

チームがCRMのデータを日常的に参照し、経営判断や営業戦略に活用し始めたら、カスタムレポートやダッシュボードが必要になります。標準レポートでは分析の深さに限界があり、有料プランの投資対効果が明確になるタイミングです。

シグナル4: 手動作業の負担が看過できなくなった

ワークフロー自動化がない無料プランでは、通知・タスク作成・ステータス更新などを手動で行う必要があります。営業メンバーが「CRMへの入力作業が負担」と感じ始めたら、自動化による効率化が必要です。

シグナル5: 他システムとの連携が求められるようになった

MAツール、チャットツール、請求管理システムなどとCRMを連携させたい場合、APIやインテグレーション機能が必要です。無料プランではAPI利用が制限されている製品が多いため、有料プランへの移行が不可避になります。

移行タイミングの判断マトリクス

シグナル 緊急度 対応
ユーザー上限到達 即座に有料プラン移行を検討
営業プロセス複雑化 中〜高 1ヶ月以内に移行計画を策定
データ活用文化の定着 四半期レビューで移行判断
手動作業の負担増 ROI試算のうえ移行判断
外部連携の必要性 低〜中 連携要件を整理してから判断

無料CRMを最大限活用する運用テクニック

無料プランの制限を補うために、以下の4つのテクニックが有効です。

テクニック1: 入力項目を最小限に絞る。 会社名、担当者名、メールアドレス、電話番号、取引ステージ、次回アクション日、想定金額の7項目に絞り込むのが推奨です。

テクニック2: 命名規則で疑似的にセグメント管理する。 コンタクトや取引の名前に接頭辞([新規][商談][東京] など)をつけることで、検索やフィルタリングを疑似的に実現できます。

テクニック3: 外部ツールとの手動連携で機能補完する。

不足機能 補完ツール(無料) 連携方法
レポート Googleスプレッドシート CSVエクスポート→集計
フォーム Googleフォーム フォーム送信→CRM手動入力
タスク管理 Notion、Trello CRMの取引に合わせてタスク作成
メール配信 Mailchimp(無料枠) CRMのリストをエクスポートして配信

ただし、手動連携はデータの二重管理を招くリスクがあるため、運用負荷とのバランスを考慮してください。

テクニック4: CRMのデータ整備を習慣化する。 月に1回、失注案件のアーカイブ、長期間未更新コンタクトの確認、重複データの統合、不要ファイルの削除を実施しましょう。

無料CRMから有料CRMへのスムーズな移行戦略

同一製品内のアップグレード

無料プランと同じ製品の有料プランにアップグレードするのが、最もスムーズな移行パスです。データ移行が不要で、既存の設定やワークフローがそのまま引き継がれます。

製品 最安有料プラン 月額目安(年払い) 主な追加機能
HubSpot Starter 約1,800円/月/ユーザー〜 ブランド削除、複数パイプライン、自動化
Zoho CRM Standard 約1,680円/月/ユーザー スコアリング、カスタムレポート、ワークフロー
Bitrix24 Basic 約7,500円/月(5ユーザー含む) 高度なCRM、オンラインストア連携
Freshsales Growth 約1,200円/月/ユーザー ワークフロー自動化、AIスコアリング

他製品への乗り換え

無料プランの制限がビジネス要件に合わなくなった場合、他製品への乗り換えも選択肢です。ただし、データ移行コスト、再トレーニングコスト、設定再構築コスト、一時的な生産性低下を考慮する必要があります。移行時は「移行前のデータクレンジング」「最低2週間の並行運用」「移行後の定着化投資」の3点を必ず実施してください。

0円顧客管理の段階的ステップアップ戦略

フェーズ 期間 月額コスト CRM構成 達成すべき状態
Phase 0 1〜3ヶ月 0円 無料CRM(HubSpot推奨) 顧客データの一元管理が定着
Phase 1 4〜6ヶ月 0円 無料CRM+外部ツール補完 パイプライン管理と基本レポートが機能
Phase 2 7〜12ヶ月 1〜3万円/月 有料エントリープラン 自動化・カスタムレポートで営業効率向上
Phase 3 1年以上 5〜15万円/月 ミドルプラン 部門横断のデータ活用とMA連携

Phase 0で最も重要なのは、「チームがCRMを使う習慣が定着するか」の検証です。営業メンバーが毎日ログインしているか、商談情報がリアルタイムで更新されているか、週次の営業会議でCRMデータが参照されているか——これらが実現していなければ、有料プランに移行しても状況は改善しません。まず無料プランで「CRMを使う文化」を定着させることが先決です。

まとめ

無料CRMは「お試し」ではなく、戦略的に活用すれば本格的な顧客管理の第一歩になります。ただし、制限の正確な理解と移行計画が不可欠です。

  • 無料CRM 5製品の中で、ユーザー数無制限・レコード数100万件のHubSpotが総合的な自由度で優位
  • Zoho CRMとFreshsalesは3名以下の少人数チームに適するが、4名以上で即座に有料化が必要
  • Bitrix24はCRM以外のツール(タスク管理、チャット等)も統合したい場合に選択肢となる
  • 無料プランの限界は「量的制限」よりも「機能制限」(レポート・自動化・カスタマイズ)で先に顕在化する
  • 有料プランへの移行は「ユーザー上限到達」「営業プロセス複雑化」「データ活用文化の定着」がシグナル
  • まずは0円で始め、CRM活用の文化が定着してから段階的に投資を拡大するアプローチが最も堅実

よくある質問(FAQ)

Q. 無料CRMで本当にまともな営業管理ができますか?

はい、5〜10名程度のチームであれば、無料CRMで基本的な営業管理は十分に可能です。特にHubSpotの無料プランは、コンタクト管理、取引管理、タスク管理、メール追跡といった営業の基本機能を無料で提供しています。ただし、カスタムレポートやワークフロー自動化が必要になった段階では、有料プランへの移行を検討すべきです。

Q. 無料CRMと有料CRMで、セキュリティに差はありますか?

基本的なデータ暗号化やアクセス制御は、多くの無料プランでも提供されています。ただし、SSO(シングルサインオン)、監査ログ、IPアドレス制限、2段階認証の強制適用など、企業のセキュリティポリシーで求められる高度な機能は有料プラン限定の場合がほとんどです。情報セキュリティ要件が厳しい企業は、無料プランのセキュリティ機能を事前に確認してください。

Q. 無料プランで始めて、途中で有料プランに移行する場合、データは引き継げますか?

同一製品内でのアップグレードであれば、データは完全に引き継がれます。HubSpot、Zoho CRM、Bitrix24、Freshsalesいずれも、無料プランから有料プランへのシームレスなアップグレードに対応しています。ただし、他社製品への乗り換えの場合は、データのエクスポート・クレンジング・インポートの工程が必要です。

Q. 複数の無料CRMを併用するのはアリですか?

推奨しません。複数のCRMを併用すると、顧客データが分散し、どのCRMが正しい情報源なのかわからなくなります。「マーケティングはHubSpot、営業はZoho CRM」のように分けるケースもありますが、データの一元管理という観点では1つのCRMに統合する方が望ましいです。

Q. 無料CRMから有料CRMへの移行で、助成金は使えますか?

はい、中小企業向けの「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」を活用できる可能性があります。CRMは補助金の対象ツールに含まれており、導入費用の最大1/2〜3/4が補助される場合があります。ただし、無料プランのまま利用する場合は補助金の対象外です。有料プランへの移行費用やカスタマイズ費用に対して申請できます。

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