「CRMにコンタクトデータはあるが、企業情報や担当者の詳細がほとんど空欄のまま」
「営業担当者が毎回ウェブで企業情報をリサーチしてからアプローチしており、時間がかかりすぎている」
——CRMにデータが入っていても、情報が不足していればデータ資産として活用できません。
Breeze Intelligenceは、HubSpotのAI機能「Breeze」の一部で、CRMのコンタクトや会社データに対して自動的に外部データを補完・強化(エンリッチメント)する機能です。企業のウェブサイト情報、業種、従業員数、売上規模、担当者の役職などを自動的に取得し、CRMのデータ品質を向上させます。
本記事では、Breeze Intelligenceの基本概念から設定方法、実務での活用法まで解説します。
この記事でわかること:
Breeze Intelligenceは、HubSpotのAIプラットフォーム「Breeze」を構成する3つの要素(Copilot、エージェント、Intelligence)のうち、データエンリッチメントとバイヤーインテントを担う機能です。
CRM内のコンタクト・会社レコードに対して、外部のデータソースからウェブリサーチを行い、不足している情報を自動的に補完します。これにより、営業担当者が個別に企業リサーチを行う時間を削減し、データに基づいたアプローチが可能になります。
Breeze Intelligenceには主に3つの機能があります:
多くの企業で、CRMにデータはあるが情報が空欄だらけ、というのが現実です。コンタクトのメールアドレスは入っているけれど、企業名、従業員数、業種、事業内容などが未入力——こうした「データ空白問題」をBreeze Intelligenceが自動的に解決します。
ミニマムで従業員数・事業内容・資本金だけでもデータが入るだけで、営業のアプローチ準備の効率がかなり変わります。
営業担当者がアプローチ前に行う企業リサーチ——コーポレートサイトを確認し、事業内容を調べ、従業員数を調べ——という作業を、Breeze Intelligenceが自動的に行ってくれます。
ただし、ここで注意が必要です。Breeze Intelligenceが提供するのは「営業アシスタントがウェブリサーチをして情報を集めてくれる」レベルの情報です。超一流の営業マンが考える深い分析が出てくるわけではありません。あくまでリサーチの叩き台として活用し、人間が判断・カスタマイズする前提で使うのがよいかなと思います。
エンリッチメントにより属性データが充実すると、リードスコアリングの「適合スコア」(属性ベースのスコア)の精度が上がります。従業員数や業種が不明のままだと適合スコアの付けようがありませんが、データが入ることで「ターゲット企業かどうか」の判定が自動化されます。
Breeze Intelligenceでデータが補完できる項目は、リード獲得フォームの入力項目から省略できます。フォームの項目数が減ると、コンバージョン率が向上します。名前とメールアドレスだけ入力してもらい、残りの企業情報はエンリッチメントで自動取得する——という運用が可能です。
HubSpotのSettings(設定)から「Breeze Intelligence」セクションにアクセスし、機能を有効化します。Breeze Intelligenceはクレジットベースの課金体系で、エンリッチメント1回あたり一定のクレジットを消費します。
どのコンタクト・会社に対してエンリッチメントを実行するかを設定します。
Breeze Intelligenceで自動取得されるデータの例:
会社データ:
コンタクトデータ:
エンリッチメントで取得したデータをワークフローのトリガーやアクションに活用します。
例えば:
ウェブフォームから問い合わせが入った瞬間に、Breeze Intelligenceが企業情報を自動取得。営業担当者はCRMを開いた時点で企業の規模・業種・事業内容が表示され、即座にパーソナライズドなアプローチが可能になります。
展示会で収集した名刺をHubSpotにインポートした後、一括でBreeze Intelligenceによるエンリッチメントを実行。名刺だけでは企業規模や業種がわからないケースでも、メールアドレスのドメインから企業情報を自動取得できます。
エンリッチメントで取得した従業員数・業種・売上規模を基に、計算プロパティやワークフローで「ターゲットアカウントかどうか」を自動判定。ABM戦略のアカウントリスト作成を効率化できます。
Breeze Intelligenceと連携したフォームでは、エンリッチメントで取得できる項目(企業名、業種、従業員数等)をフォームから省略できます。入力項目を最小限にすることでコンバージョン率を高めつつ、必要な企業情報は裏側で自動取得します。
Breeze Intelligenceはクレジットベースの課金です。月あたりのクレジット上限を把握し、どのコンタクト/会社に対してエンリッチメントを実行するか優先順位をつけましょう。すべてのレコードに対して無差別にエンリッチメントを実行すると、クレジットがすぐに枯渇します。
スマートプロパティのクレジットは月3,000(約300回)程度が目安です。
エンリッチメントで取得されるデータは外部ソースに依存するため、100%正確とは限りません。特に中小企業やスタートアップ企業の情報は、データソースに登録がなく取得できないケースもあります。重要な判断に使うデータは、人間が確認するプロセスを入れましょう。
Breeze Intelligenceの外部データソースは英語圏のデータが中心です。日本企業のデータカバレッジは、グローバル企業や大企業はカバーされていますが、国内の中小企業はデータが取得できないケースがある点は正直に認識しておく必要があります。
エンリッチメントで取得したデータが、既にCRMに入力されているデータと矛盾する場合の上書きルールを事前に決めておきましょう。一般的には「CRMに既に値が入っている場合は上書きしない」設定が安全です。
Breeze Intelligenceは、CRMのデータ品質を自動的に向上させ、営業チームのリサーチ時間を削減する強力な機能です。
まずは新規リードに対するエンリッチメントの自動化から始めて、段階的にリードスコアリングとの連携、フォームの最適化へと拡張していくのがおすすめです。CRMにデータが蓄積されるほど、エンリッチメントの価値も高まり、営業の意思決定がデータドリブンになっていきます。
ただし、AIが提供するデータはあくまで「叩き台」です。重要な商談のリサーチには、エンリッチメントデータを出発点としつつ、人間が深掘りリサーチを行うという役割分担を忘れないでください。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「自社に合ったCRMの選び方がわからない」「HubSpotを導入したが活用しきれていない」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
Breeze Intelligenceは追加アドオンとして購入する形式です。HubSpotのProfessionalまたはEnterpriseプランを利用中の企業が対象です。クレジットパッケージを購入して利用します。
企業規模やデータソースの充実度によって異なります。グローバル企業や大手企業は高精度でデータが取得できますが、国内の中小企業はカバレッジが限定的な場合があります。取得されたデータは参考情報として活用し、重要な判断には人間による確認を組み合わせるのがおすすめです。
スマートプロパティはコンタクト・会社レコードに対してAIがウェブリサーチを行い、個別のプロパティ値を自動入力する機能です。Breeze Intelligenceはより広範なデータエンリッチメント基盤で、一括エンリッチメントやバイヤーインテント機能を含みます。目的に応じて使い分けてください。
すべてのレコードにかける必要はありません。ターゲットセグメントやアクティブなリードに優先的にエンリッチメントを実行し、クレジットを効率的に活用しましょう。
企業としての基本情報(従業員数、業種等)は取得可能です。ただし、競合分析に使えるような詳細な戦略情報や非公開情報は取得できません。