「全社員がすべてのデータを見られる状態で、情報漏洩が心配」
「営業担当が他チームの取引データを誤って変更してしまった」
——権限設計の不備は、データ事故やセキュリティリスクに直結します。
HubSpotのパーミッション(権限)設計とは、ユーザーごと・チームごと・役割ごとに「どのデータにアクセスできるか」「どの操作ができるか」を体系的に制御する仕組みのことです。適切な権限設計は、データの安全性を確保しながら、業務効率を損なわないバランスが求められます。
この記事では、HubSpotの権限管理機能の全体像から、チーム・役割別の設計パターン、そして運用のベストプラクティスまでを解説します。
| 機能 | Free | Starter | Professional | Enterprise |
|---|---|---|---|---|
| 基本的なユーザー権限 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| チーム機能 | - | ○ | ○ | ○ |
| 権限セット | - | - | - | ○ |
| フィールドレベル権限 | - | - | - | ○ |
| カスタムパーミッション | - | - | - | ○ |
| SSO(シングルサインオン) | - | - | - | ○ |
| 2要素認証 | ○ | ○ | ○ | ○ |
Professionalプランまでは「チーム」単位での基本的な権限制御が可能ですが、フィールドレベルの権限や権限セット(テンプレート化)はEnterprise以上が必要です。
どのオブジェクト(コンタクト・会社・取引・チケット・カスタムオブジェクト)に対して、どの操作(閲覧・作成・編集・削除)を許可するかを設定します。
例:
同じオブジェクト内でも、どのレコードが見えるかを制御します。
| 設定 | 内容 |
|---|---|
| すべて | 全レコードが閲覧・編集可能 |
| チーム所有 | 自チームが所有するレコードのみ |
| 自分所有 | 自分が所有するレコードのみ |
これにより、「SMB営業チームはSMBの取引のみ閲覧可能」「エンタープライズ営業チームはエンタープライズの取引のみ閲覧可能」といった分離が実現します。
特定のプロパティ(フィールド)ごとに閲覧・編集権限を設定します。
例:
フィールドレベル権限は、Salesforceのフィールドレベルセキュリティと同等の機能です。
HubSpotの各機能(ワークフロー・レポート・設定画面等)へのアクセスを制御します。
例:
プロパティ設定を変更できないようにするのは、不要なプロパティが増殖するのを防ぐ意味でも結構重要です。
経営層にはレポートの閲覧だけでよいケースが多いので、「表示のみ」の無料シートを活用するとコスト効率が良いです。
導入初期に「全員が使いやすいように」と全員に管理者権限を付与してしまうケース。不要なプロパティが量産され、ワークフローが無秩序に作成され、データ構造が破綻します。
対策: 最初から権限を適切に分離する。管理者は1〜2名に限定。
セキュリティを重視するあまり、営業が必要な顧客情報にアクセスできない状態にしてしまうケース。結果として、CRMを使わずにExcelに戻ってしまう。
対策: 「業務に必要な情報はアクセス可能にし、変更・削除の権限を制御する」というバランス。
退職した社員のアカウントが有効なまま残り、外部からアクセスできてしまうリスク。
対策: 退職フローにHubSpotアカウントの無効化を組み込む。定期的に(月1回)アクティブユーザーの棚卸しを実施。
上場企業やIPO準備中の企業では、より厳格なセキュリティ設定が求められます。
HubSpotのパーミッション設計は、「データの安全性」と「業務効率」のバランスを取る設計作業です。
まずはチーム構造を整理し、役割別の権限テンプレートを作成するところから始めましょう。Professionalプランでもチーム単位の基本的な権限制御は可能ですが、フィールドレベル権限やSSO、権限セットを活用した高度な制御が必要な場合はEnterpriseプランが必要です。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「権限設計を見直したい」「上場準備に合わせたセキュリティ設定を相談したい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
CRM導入の初期段階で設計するのが理想です。ただし、少人数の段階では厳密な権限設計は不要で、チームが10名を超えたあたりから本格的に取り組むのが現実的です。まずはシンプルな権限設計で始めて、組織の成長に合わせて見直していきましょう。
Professionalプランではフィールドレベル権限がないため、「特定のプロパティだけ編集不可にする」という制御はできません。ただし、オブジェクトレベルとレコードレベルの権限を組み合わせることで、多くのケースでは十分な制御が可能です。金額情報やセンシティブデータの厳格な制御が必要な場合はEnterprise検討のトリガーになります。
Salesforceの権限モデル(プロファイル・権限セット・ロール階層)はHubSpotよりも粒度が細かいため、移行時には権限設計のシンプル化が必要になります。Salesforceの権限設定をそのままHubSpotに再現しようとすると非効率なので、「本当に必要な制御」に絞って再設計するのがおすすめです。
HubSpotの監査ログ機能で、権限変更を含むユーザー操作の履歴を確認できます。Enterprise以上のプランでは、より詳細な監査ログが利用可能です。
この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。
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