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カスタマージャーニーマップの作り方|HubSpotでの実装とマーケティング自動化の連携設計

作成者: 今枝 拓海|1970/01/01 0:00:00

「カスタマージャーニーマップを作りたいが、どこから手をつければいいかわからない」「ジャーニーマップは作ったが、実際のマーケティング施策と連動していない」——こうした悩みを持つマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。

カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客が自社の製品・サービスを認知してから購入・利用に至るまでの一連の体験を、時系列で可視化したフレームワークです。 単なる図として作るだけでなく、HubSpotのワークフローやコンテンツ戦略と連動させることで、顧客体験の最適化とマーケティング自動化を実現できます。

この記事では、BtoB企業向けのカスタマージャーニーマップの作成方法と、HubSpotでの実装手順を解説します。


この記事でわかること

  • カスタマージャーニーマップの基本構造と作成手順
  • BtoB企業特有のジャーニー設計のポイント
  • HubSpotのライフサイクルステージとジャーニーの対応関係
  • ジャーニーに沿ったコンテンツ・ワークフロー設計
  • カスタマージャーニーレポートの活用方法

カスタマージャーニーマップの基本構造

ジャーニーマップの5つの要素

要素 説明
フェーズ 購買プロセスの段階 認知→興味→検討→決定→利用
タッチポイント 顧客が企業と接触するチャネル Web検索、ブログ、ウェビナー、営業面談
行動 各フェ��ズでの顧客の具体的行動 記事を読む、資料をDLする、問い合わせする
思考・感情 各フェーズでの顧客の心理 「課題を解決したい」「比較検討したい」
企業のアクション 各フェーズで企業が実施する施策 SEO記事公開、ナーチャリングメール、提案

BtoBカスタマージャーニーの特徴

BtoB企業のカスタマージャーニーは、BtoCと比べて以下の特徴があります。

  • 購買プロセスが長い: 検討期間が数ヶ月〜1年以上
  • 複数の意思決定者が関与: 担当者→マネージャー→役員の承認プロセス
  • 情報収集が重要: 比較検討・ROI計算・社内説得のための情報を求める
  • 営業との接点が不可欠: セルフサービスだけでは完結しにくい

カスタマージャーニーマップの作成手順

ステップ1: ペルソナの設定

ジャーニーマップ作成の前提として、ターゲットペルソナを明確にします。

ペルソナ例: マーケティングマネージャー 田中さん

項目 内容
役職 マーケティングマネージャー
企業規模 従業員100〜300名のBtoB製造業
課題 リード管理がExcelで属人化、ナーチャリングができていない
目標 リード獲得〜商談化を仕組み化し、マーケの成果を数値で示したい
情報収集方法 Google検索、業界メディア、SNS、ウェビナー

ステップ2: フェーズごとのジャーニー設計

BtoBの典型的なカスタマージャーニーを5����ェーズで設計します。

フェーズ1: 認知(Awareness)

項目 内容
顧客の状態 課題を感じ始めているが、解決策を具体的に探していない
行動 Google検索、業界記事閲覧、SNSでの情報収集
思考 「そろそろ顧客管理を何とかしないと」
タッチポイント SEOブログ記事、SNS投稿、業界メディア
企業のアクション SEO記事公開、SNS発信、広告出稿
HubSpotステージ サブスクライバー / リード

フェーズ2: 興味・検討(Consideration)

項目 内容
顧客の状態 解決策としてCRM/MAツールに興味を持ち始めた
行動 ホワイトペーパーDL、比較記事閲覧、ウェビナー参加
思考 「どんなツールがあるのか」「自社に合うのはどれか」
タッチポイント ホワイトペーパー、ウェビナー、比較記事
企業のアクション ナーチャリングメール、ウェビナー開催
HubSpotステージ リード → MQL

フェーズ3: 評価(Evaluation)

項目 内容
顧客の状態 具体的なツールを2〜3つに絞り、比較検討中
行動 デモリクエスト、事例閲覧、料金確認、社内提案書作成
思考 「ROIは合うのか」「社内をどう説得するか」
タッチポイント デモ、個別相談、事例ページ、料金ページ
企業のアクション デモ実施、ROI資料提供、事例紹介
HubSpotステージ MQL → SQL

フェーズ4: 決定(Decision)

項目 内����
顧客の状態 導入��ールをほぼ決定し、最終確認中
行動 見積依頼、契約条件確認、社内稟議
思考 「導入後のサポートは大丈夫か」「契約条件は妥当か」
タッチポイント 営業面談、見積書、契約書
企業のアクション 見積��出、導入計画提案、契約締結
HubSpotステージ SQL → Opportunity → Customer

フェーズ5: 利用・拡大(Retention & Expansion)

項目 内容
顧客の状態 ツールを利用開始し、社内展開・活用拡大を検討
行動 オンボーディング、機能活用、追加プラン検討
思考 「使いこなせるか」「もっと活用範��を広げたい」
タッチポイント オンボーディング、サポート、ナレッジベース
企業のアクション CS対応、トレーニング、アップセル提案
HubSpotステージ Customer → Evangelist

HubSpotでのジャーニー実装

ライフサイクルステージとの対応

HubSpotのライフサイクルステー���は、カスタマージャーニーのフェーズと直接対応します。

ジャーニーフェーズ ライフサイクルステージ 自動化のポイント
認知 Subscriber → Lead フォーム送信でリード化
興味・���討 Lead → MQL スコアリングでMQL判定
評価 MQL → SQL 営業フォロー後にSQL判定
決定 SQL → Opportunity → Customer 取引ステージ管理
利用・拡大 Customer → Evangelist CS対応・アップセル管理

フェーズ別コンテンツマッピング

各フェーズに適したコンテンツを整理し、HubSpotで管理します。

フェーズ コンテンツタイプ HubSpotの活用機能
認知 ブログ記事、インフォグラフィック Content Hub(ブログ)
興味・検討 ホワイトペーパー、ウェビナー、メルマガ フォームメール配信
評価 事例、デモ動画、比較資料、ROI計算ツール LP、CTA
決定 提案書、見積書、導入計画 見積もり、取引管理
利用・拡大 ナレッジベース、トレーニング、活用事例 Service Hub、ナレッジベース

ワークフローによるジャーニー自動化

ワ��クフローを使って、ジャーニーの各フェーズに応じた自動化を構築します。

認知→興味フェーズのワークフロー例:

  1. トリガー: ブログ記事からCTAをクリックしてホワイトペーパーをダウンロード
  2. アクション1: ライフサイクルステージを「リード」に設定
  3. アクション2: ウェルカムメール送信
  4. 遅延: 3日後
  5. アクション3: 関連する教育コンテンツのメール送信
  6. 遅延: 5日後
  7. アクション4: ウェビナー招待メール送信
  8. 条件分岐: ウェビナー登録した場合 → 次のワークフローへ

検討→評価フェーズのワークフロー例:

  1. トリガー: HubSpot Score ≧ 50(MQL化)
  2. アクション1: ライフ���イクルステージを「MQL」に変更
  3. アクション2: 営業に通知・タスク作成
  4. アクション3: 事例紹介メール送信
  5. 遅延: 3日後
  6. 条件分岐: 営業がフォロー済みか確認
  • Yes → 営業主導のフォローへ
  • No → リマインダー送信

カスタマージャーニーレポートの活用

HubSpotのジャーニーレポート

Marketing Hub Professional以上では、カスタマージャーニーレポートを作成できます。

「レポート」→「レポートを作成」→「カスタマージャーニーレポート」を選択し、以下のようなレポートを作成します。

主要なジャーニーレポート:

レポート 測定内容 改善ポイント
ファネル転換率 各ステージ間の転換率 転換率が低いステージのコンテンツ・施策を改善
フェーズ滞在期間 各フェーズでの平均滞在日数 長すぎるフェーズのナーチャリングを強化
タッチポイント分析 各タッチポイントの貢献度 効果の高いタッチポイントに投資集中
ドロップオフ分析 離脱が多いポイント 離脱ポイントのコンテンツや体験を改善

アトリビューション分析との連携

アトリビューション分析と組み合わせることで、ジャーニー上のどのタッチポイントが商談・受注に最も貢献しているかを定量的に把握できます。


ジャーニーマップ運用のベストプラクティス

1. 定期的な見直し

ジャーニーマップは一度作って終わりではなく、四半期ごとにレポートデータに基づいて見直します。

  • 新しいタッチポイント(新チャネル、新コンテンツ)の追加
  • 転換率データに基づくフェーズ定義の調整
  • 顧客インタビューからのフィードバック反映

2. 営業・CSチームとの共有

ジャーニーマップはマーケティング部門だけでなく、営業・カスタマーサクセス部門とも共有し、各部門が自分の担当フェーズを理解した上で連携する体制を作ります。

3. コンテンツギャップの特��

ジャーニーの各フェーズに必要なコンテンツを洗い出し、不足しているコンテンツ(コンテンツギャップ)を特定して制作計画に反映します。


まとめ

カスタマージャーニーマップは、顧客体験を可視化し、マーケティング施策を体系的に設計するための重要なフレームワークです。

  • 5フェーズで設計: 認知→興味→評価→決定→利用
  • HubSpotと連動: ライフサイクルステージ・スコアリング・ワークフローで自動化
  • コンテンツマッピング: 各フェーズに適したコンテンツを配置
  • データで改善: ジャーニーレポートとアトリビューション分析で定量評価

まずは現在のジャーニーの各フェーズを整理し、最も転換率が低いフェーズから改善施策を実施していくアプローチが効果的です。


よく��る質問(FAQ)

Q1. カスタマージャーニーマップの作成にどのくらい時間がかかりますか?

ペルソナ設定も含めると、初版の作成に2〜4週間が目安です。ただし、完璧を目指す��り先にざっくりとした版を作って運用を始め、データに基づいて改善していくアプローチのほうが効果的です。

Q2. 複数のペルソナがいる場合、ジャーニーマップは分けるべきですか?

はい、ペルソナごとにジャーニーマップを作成することをおすすめします。ただし、最初は最も重要なペルソナ1つに絞って作成し、運用が軌道に乗ったら他のペルソナに展開していく方が現実的です。

Q3. HubSpotのどのプランでジャーニーレポートが使えますか?

カスタマージャーニーレポートはMarketing Hub Professional以上で利用可能です。基本的なファネルレポートはStarterでも作成できますが、詳細なジャーニー分析にはProfessionalが必要です。

Q4. ジャーニーマップとファネルの違いは何ですか?

ファネルは企業視点で「リード→MQL→SQL→商談→受注」というプロセスを表現します。ジャーニーマッ���は顧客視点で「認知→興味→検討→決定→利用」という体験を表現します。両者は補完的な関係にあり、ファネルの各ステージにジャーニーの体験設計を対応させるのが理想的です。

Q5. BtoB企業でカスタマージャーニーマップが機能しない原因は何ですか?

最も多い原因は「作って終わり」になることです。ジャーニーマップを実際のマーケティング施策やHubSpotのワークフローに落とし込み、定期的にデータで検証・改善するサイクルを回さなければ、壁に貼ってあるだけの絵になってしまいます。