「カスタマージャーニーマップを作りたいが、どこから手をつければいいかわからない」「ジャーニーマップは作ったが、実際のマーケティング施策と連動していない」——こうした悩みを持つマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客が自社の製品・サービスを認知してから購入・利用に至るまでの一連の体験を、時系列で可視化したフレームワークです。 単なる図として作るだけでなく、HubSpotのワークフローやコンテンツ戦略と連動させることで、顧客体験の最適化とマーケティング自動化を実現できます。
この記事では、BtoB企業向けのカスタマージャーニーマップの作成方法と、HubSpotでの実装手順を解説します。
| 要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| フェーズ | 購買プロセスの段階 | 認知→興味→検討→決定→利用 |
| タッチポイント | 顧客が企業と接触するチャネル | Web検索、ブログ、ウェビナー、営業面談 |
| 行動 | 各フェ��ズでの顧客の具体的行動 | 記事を読む、資料をDLする、問い合わせする |
| 思考・感情 | 各フェーズでの顧客の心理 | 「課題を解決したい」「比較検討したい」 |
| 企業のアクション | 各フェーズで企業が実施する施策 | SEO記事公開、ナーチャリングメール、提案 |
BtoB企業のカスタマージャーニーは、BtoCと比べて以下の特徴があります。
ジャーニーマップ作成の前提として、ターゲットペルソナを明確にします。
ペルソナ例: マーケティングマネージャー 田中さん
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 役職 | マーケティングマネージャー |
| 企業規模 | 従業員100〜300名のBtoB製造業 |
| 課題 | リード管理がExcelで属人化、ナーチャリングができていない |
| 目標 | リード獲得〜商談化を仕組み化し、マーケの成果を数値で示したい |
| 情報収集方法 | Google検索、業界メディア、SNS、ウェビナー |
BtoBの典型的なカスタマージャーニーを5����ェーズで設計します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 顧客の状態 | 課題を感じ始めているが、解決策を具体的に探していない |
| 行動 | Google検索、業界記事閲覧、SNSでの情報収集 |
| 思考 | 「そろそろ顧客管理を何とかしないと」 |
| タッチポイント | SEOブログ記事、SNS投稿、業界メディア |
| 企業のアクション | SEO記事公開、SNS発信、広告出稿 |
| HubSpotステージ | サブスクライバー / リード |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 顧客の状態 | 解決策としてCRM/MAツールに興味を持ち始めた |
| 行動 | ホワイトペーパーDL、比較記事閲覧、ウェビナー参加 |
| 思考 | 「どんなツールがあるのか」「自社に合うのはどれか」 |
| タッチポイント | ホワイトペーパー、ウェビナー、比較記事 |
| 企業のアクション | ナーチャリングメール、ウェビナー開催 |
| HubSpotステージ | リード → MQL |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 顧客の状態 | 具体的なツールを2〜3つに絞り、比較検討中 |
| 行動 | デモリクエスト、事例閲覧、料金確認、社内提案書作成 |
| 思考 | 「ROIは合うのか」「社内をどう説得するか」 |
| タッチポイント | デモ、個別相談、事例ページ、料金ページ |
| 企業のアクション | デモ実施、ROI資料提供、事例紹介 |
| HubSpotステージ | MQL → SQL |
| 項目 | 内���� |
|---|---|
| 顧客の状態 | 導入��ールをほぼ決定し、最終確認中 |
| 行動 | 見積依頼、契約条件確認、社内稟議 |
| 思考 | 「導入後のサポートは大丈夫か」「契約条件は妥当か」 |
| タッチポイント | 営業面談、見積書、契約書 |
| 企業のアクション | 見積��出、導入計画提案、契約締結 |
| HubSpotステージ | SQL → Opportunity → Customer |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 顧客の状態 | ツールを利用開始し、社内展開・活用拡大を検討 |
| 行動 | オンボーディング、機能活用、追加プラン検討 |
| 思考 | 「使いこなせるか」「もっと活用範��を広げたい」 |
| タッチポイント | オンボーディング、サポート、ナレッジベース |
| 企業のアクション | CS対応、トレーニング、アップセル提案 |
| HubSpotステージ | Customer → Evangelist |
HubSpotのライフサイクルステー���は、カスタマージャーニーのフェーズと直接対応します。
| ジャーニーフェーズ | ライフサイクルステージ | 自動化のポイント |
|---|---|---|
| 認知 | Subscriber → Lead | フォーム送信でリード化 |
| 興味・���討 | Lead → MQL | スコアリングでMQL判定 |
| 評価 | MQL → SQL | 営業フォロー後にSQL判定 |
| 決定 | SQL → Opportunity → Customer | 取引ステージ管理 |
| 利用・拡大 | Customer → Evangelist | CS対応・アップセル管理 |
各フェーズに適したコンテンツを整理し、HubSpotで管理します。
| フェーズ | コンテンツタイプ | HubSpotの活用機能 |
|---|---|---|
| 認知 | ブログ記事、インフォグラフィック | Content Hub(ブログ) |
| 興味・検討 | ホワイトペーパー、ウェビナー、メルマガ | フォーム、メール配信 |
| 評価 | 事例、デモ動画、比較資料、ROI計算ツール | LP、CTA |
| 決定 | 提案書、見積書、導入計画 | 見積もり、取引管理 |
| 利用・拡大 | ナレッジベース、トレーニング、活用事例 | Service Hub、ナレッジベース |
ワ��クフローを使って、ジャーニーの各フェーズに応じた自動化を構築します。
認知→興味フェーズのワークフロー例:
検討→評価フェーズのワークフロー例:
Marketing Hub Professional以上では、カスタマージャーニーレポートを作成できます。
「レポート」→「レポートを作成」→「カスタマージャーニーレポート」を選択し、以下のようなレポートを作成します。
主要なジャーニーレポート:
| レポート | 測定内容 | 改善ポイント |
|---|---|---|
| ファネル転換率 | 各ステージ間の転換率 | 転換率が低いステージのコンテンツ・施策を改善 |
| フェーズ滞在期間 | 各フェーズでの平均滞在日数 | 長すぎるフェーズのナーチャリングを強化 |
| タッチポイント分析 | 各タッチポイントの貢献度 | 効果の高いタッチポイントに投資集中 |
| ドロップオフ分析 | 離脱が多いポイント | 離脱ポイントのコンテンツや体験を改善 |
アトリビューション分析と組み合わせることで、ジャーニー上のどのタッチポイントが商談・受注に最も貢献しているかを定量的に把握できます。
ジャーニーマップは一度作って終わりではなく、四半期ごとにレポートデータに基づいて見直します。
ジャーニーマップはマーケティング部門だけでなく、営業・カスタマーサクセス部門とも共有し、各部門が自分の担当フェーズを理解した上で連携する体制を作ります。
ジャーニーの各フェーズに必要なコンテンツを洗い出し、不足しているコンテンツ(コンテンツギャップ)を特定して制作計画に反映します。
カスタマージャーニーマップは、顧客体験を可視化し、マーケティング施策を体系的に設計するための重要なフレームワークです。
まずは現在のジャーニーの各フェーズを整理し、最も転換率が低いフェーズから改善施策を実施していくアプローチが効果的です。
ペルソナ設定も含めると、初版の作成に2〜4週間が目安です。ただし、完璧を目指す��り先にざっくりとした版を作って運用を始め、データに基づいて改善していくアプローチのほうが効果的です。
はい、ペルソナごとにジャーニーマップを作成することをおすすめします。ただし、最初は最も重要なペルソナ1つに絞って作成し、運用が軌道に乗ったら他のペルソナに展開していく方が現実的です。
カスタマージャーニーレポートはMarketing Hub Professional以上で利用可能です。基本的なファネルレポートはStarterでも作成できますが、詳細なジャーニー分析にはProfessionalが必要です。
ファネルは企業視点で「リード→MQL→SQL→商談→受注」というプロセスを表現します。ジャーニーマッ���は顧客視点で「認知→興味→検討→決定→利用」という体験を表現します。両者は補完的な関係にあり、ファネルの各ステージにジャーニーの体験設計を対応させるのが理想的です。
最も多い原因は「作って終わり」になることです。ジャーニーマップを実際のマーケティング施策やHubSpotのワークフローに落とし込み、定期的にデータで検証・改善するサイクルを回さなければ、壁に貼ってあるだけの絵になってしまいます。