「代理店経由の案件が増えてきたが、進捗がブラックボックスになっている」
「パートナーごとの成果を比較したいが、データがExcelに分散していて集計できない」
——こうした課題は、パートナーセールスの設計とCRM活用で解決できます。
パートナーセールスとは、自社の直販チャネルに加えて、代理店・リセラー・紹介パートナーなどの外部チャネルを通じて販売する営業モデルのことです。BtoBビジネスにおいて、成長フェーズでパートナーチャネルを活用する企業は多いですが、その管理が属人化していると、せっかくのチャネルが機能不全に陥ります。
この記事では、パートナーセールスの設計フレームワークと、HubSpotを活用した仕組み化の方法を解説します。
| モデル | 特徴 | 適するケース |
|---|---|---|
| リセラー(再販) | パートナーが自社名義で販売・契約 | 商材がパッケージ化されている場合 |
| リファラル(紹介) | パートナーが見込み客を紹介し、自社が直接販売 | 信頼関係ベースの紹介が中心の場合 |
| 共同販売 | 自社とパートナーが共同で提案・クロージング | 大型案件・コンサルティング商材の場合 |
企業様によって最適なモデルは異なりますが、多くの場合はリファラルから始めて、成果が出てきたらリセラーモデルに移行するのが現実的です。いきなりリセラー契約を結んでも、パートナー側に販売ノウハウがなければ案件が進みません。
1. 案件の可視化ができていない
パートナーから「今こんな案件を進めています」と口頭やメールで報告を受けるだけの状態では、全体像が掴めません。スプレッドシートで管理しようとしても、更新頻度が落ちて実態と乖離していくのがよくあるパターンです。
2. パートナーへの支援が属人的
特定の営業担当だけがパートナーとの関係を持っていて、担当が変わると関係がリセットされてしまう。これは「仕組み」ではなく「人」に依存している典型例です。
3. 成果評価の基準が曖昧
パートナーごとの紹介件数・商談化率・受注率を定量的に評価できていないと、「なんとなく成果が出ている気がする」という状態から抜け出せません。
パートナー経由の案件は、直販とは異なる営業プロセスを辿ることが多いため、専用のパイプラインを作成するのが結構ミソになってきます。
【パートナーパイプライン】
パートナー紹介 → 初回コンタクト → ニーズヒアリング → 提案 → 見積もり → 受注内示 → 契約
直販パイプラインと分けることで、パートナーチャネル固有のKPI(紹介からコンタクトまでの日数、パートナー支援の工数など)を独立して計測できます。
取引レコードに以下のカスタムプロパティを追加します。
これらのプロパティを使って、パートナー別の実績レポートを自動生成できます。
パートナーからの案件紹介をフォーム経由で受け付け、ワークフローで自動処理する仕組みを作ると、運用がスムーズになります。
手動でメールを転送して案件を登録するよりも、仕組みで回すことで漏れや遅延を防ぐことができます。
Content Hubの会員サイト機能を使って、パートナー向けのポータルサイトを構築できます。
パートナーが自分で案件の進捗を確認できる状態を作ることで、「あの案件どうなってますか?」というコミュニケーションコストを大幅に削減できます。
| KPI | 計算方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 紹介件数 | パートナー別の取引作成数 | パートナーの活動量を評価 |
| 商談化率 | 紹介→提案に進んだ割合 | 紹介の質を評価 |
| 受注率 | 提案→受注の割合 | 案件の確度を評価 |
| 平均受注金額 | パートナー別の平均取引額 | 案件の規模感を把握 |
| 紹介〜受注リードタイム | 紹介日→受注日の日数 | プロセスの効率を評価 |
| パートナーROI | 手数料支払い ÷ 受注金額 | 投資対効果を評価 |
HubSpotのカスタムレポートで、パートナー別の実績をダッシュボードにまとめましょう。
ダッシュボードは毎週水曜朝8時に定期配信する設定にしておくと、パートナー管理の会議資料を毎回手作業で作る必要がなくなります。
直販チームとパートナーが同じ企業にアプローチしてしまう「バッティング」は、パートナーとの信頼関係を損ねる最も大きなリスクです。
HubSpotでは、会社レコードに「パートナー担当フラグ」を設定し、パートナーが紹介した企業には直販チームがアプローチしないルールを設定できます。ワークフローで自動的にフラグを立てれば、人為的なミスも防げます。
取引が受注に至った際に、パートナーへの手数料を自動計算するワークフローを組むと便利です。受注金額 × 手数料率の計算プロパティを使えば、パイプラインレポートと連動してリアルタイムに手数料の見込み額が把握できます。
パートナーセールスの成功は、個人の関係性に依存しない「仕組み」をいかに作れるかにかかっています。
まずはパートナー専用のパイプラインとカスタムプロパティを設計し、紹介受付のワークフローを整備するところから始めましょう。CRMにパートナーチャネルのデータが蓄積されるほど、どのパートナーに注力すべきか・どのモデルが自社に合っているかが見えてきます。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「パートナーチャネルの管理をCRMで仕組み化したい」「直販とパートナー販売の併存設計を相談したい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
必ずしもその必要はありません。パートナー専用フォームで案件紹介を受け付け、進捗はポータルサイトやメール通知で共有する形が一般的です。パートナーの人数が多い場合は、表示のみのシート(無料)を活用してレポート閲覧だけ許可する方法もあります。
基本的なパイプライン管理とカスタムプロパティはStarter以上で利用可能です。ワークフローによる自動化やカスタムレポートを活用する場合はProfessional以上が必要です。パートナーポータルを構築する場合はContent Hub Professionalの会員サイト機能が必要になります。
SalesforceにはPartner Relationship Management(PRM)という専用機能がありますが、Enterprise以上の上位プランが必要で、導入コストが高くなりがちです。HubSpotはCRM・CMS・MAが統合されているため、パートナーポータルの構築からレポーティングまでをワンプラットフォームで実現できる点が特徴です。
少数であっても、パートナー別の実績を定量的に把握することには大きな意味があります。「なんとなく成果が出ている」ではなく、データに基づいてパートナー戦略を意思決定できるようになるからです。むしろ少数のうちに仕組みを作っておけば、パートナー数が増えたときにスケールしやすくなります。
この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。
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