「リードの数は増えているのに、なかなか商談につながらない」「展示会や広告に頼ったリード獲得から脱却したい」「インバウンドマーケティングに取り組みたいが、何から始めればいいかわからない」——こうした課題を抱えているBtoB企業は少なくありません。
BtoBリードジェネレーションとは、資料請求や問い合わせ、セミナー参加などを通じて、将来的な顧客となりうる見込み顧客の情報を獲得するプロセスのことです。特にインバウンドマーケティング——顧客が自らの意思で自社に辿り着く仕組みを構築するアプローチ——は、HubSpot社が提唱した概念であり、BtoBの持続的なリード獲得に欠かせない戦略です。
この記事では、BtoBリードジェネレーションの代表的な方法12選を紹介し、HubSpotを活用した実践的な運用設計を解説します。
この記事でわかること:
リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)の連絡先情報を獲得するマーケティング活動全般を指します。BtoBにおいては、企業名・担当者名・メールアドレス・役職・電話番号などの情報を、フォーム送信や名刺交換などを通じて取得するプロセスです。
重要なのは、単に「数を集める」ことではなく、自社のターゲットに合った質の高いリードを効率的に獲得することです。ここが結構ミソになってくるのですが、リードの量だけを追い求めると、営業部門に渡した後のコンバージョン率が下がり、結果として営業とマーケの連携に摩擦が生まれてしまいます。
| 項目 | インバウンド | アウトバウンド |
|---|---|---|
| アプローチ | 顧客が自ら見つけてくれる | こちらから顧客にアプローチ |
| 代表的手法 | SEO、コンテンツ、ウェビナー | テレアポ、DM、展示会 |
| リードの質 | 検討意欲が高い傾向 | 温度感にばらつきあり |
| コスト構造 | 初期投資型(効果は中長期) | 変動費型(即効性あり) |
| スケーラビリティ | コンテンツが資産として蓄積 | 人的リソースに依存 |
BtoBではインバウンドとアウトバウンドを対立軸で考えるのではなく、組み合わせて使うのが現実的です。インバウンドでリードの流入基盤を作りつつ、アウトバウンドで能動的にターゲット企業にアプローチする——という両輪が理想的です。
ブログ記事やホワイトペーパーなど、ターゲット顧客の課題に答えるコンテンツを制作し、検索エンジン経由での流入を獲得する方法です。
最近AIでの検索が増えてきているのでGoogle検索の重要性は少し相対的に低くなってはいますが、やはりSEO対策は必要です。特にBtoBでは、専門的な課題に対する解決策を探して検索する方が多いため、コンテンツの質と専門性がポイントになってきます。
HubSpotでの実装:
業界レポートや実践ガイドなど、価値の高いコンテンツをPDFで提供し、ダウンロード時にフォーム入力を求める方法です。
HubSpotでの実装:
専門的なテーマでウェビナーを開催し、参加申込時にリード情報を取得する方法です。BtoBでは特に有効な手法で、参加者の検討意欲が高い傾向にあります。
HubSpotでの実装:
LinkedInやX(旧Twitter)などのSNSで情報発信し、自社サイトへの流入を促す方法です。BtoBではLinkedInの親和性が高いですが、企業様によっては使いにくい部分もあるかなと思います。
YouTubeなどで製品デモや解説動画を配信し、概要欄からリード獲得ページへ誘導する方法です。
Webサイトに設置したチャットボットで訪問者と対話し、リード情報を取得する方法です。
HubSpotでの実装:
業界展示会に出展し、名刺交換やブース来訪でリードを獲得する方法です。
スプレッドシートで展示会管理されている企業様が多いですが、こちらにも顧客リストがあり一方で担当者マスターにも別の情報が入っていたり、差分が起きてしまうという課題があります。HubSpotのマーケティングイベント機能とリレーションデータベースを活用することで、展示会ごとのROI分析が可能になります。
HubSpotでの実装:
ターゲットリストに基づいて電話でアプローチし、商談機会を創出する方法です。
HubSpotでの実装:
ただ単にかけていくだけよりも、HubSpotのMA機能を活用してスコアリングで優先順位の高い方から並べてアプローチする方が効率的です。
ターゲットリストに対して、パーソナライズされた営業メールを段階的に送信する方法です。
HubSpotのシーケンス機能を使えば、テンプレート品質を上げれば新卒でもベテラン並みのアプローチが可能になります。メルマガではなく、ちゃんと営業からの個別メールに見える形で送れるのがポイントです。
運用の数値感:
自社サイトに訪問したが、コンバージョンしなかったユーザーに対して広告を配信する方法です。
HubSpotでの実装:
補完的なサービスを提供する企業と共同でセミナーやコンテンツを制作し、互いのリードを共有する方法です。
既存顧客からの紹介や、ITreviewなどのレビューサイトを通じてリードを獲得する方法です。
リードジェネレーションは「獲得して終わり」ではなく、その後のナーチャリング(育成)から商談化、そして受注・失注後の掘り起こしまでを一気通貫で設計することが重要です。
リード獲得(フォーム・展示会・広告等)
↓
ライフサイクルステージ:リード
↓ スコアリング+行動ベースで判定
ライフサイクルステージ:MQL(ホットリード)
↓ ISによる架電・メール
ライフサイクルステージ:SQL
↓ FSへトス
商談化(パイプライン管理)
↓
受注 → 顧客 / 失注 → 掘り起こしナーチャリングへ
ここでポイントになるのが、ライフサイクルステージの定義を自社のカスタマージャーニーに基づいて設計するということです。BtoBの企業様とBtoCの企業様では当然設計が違いますし、同じBtoBでも業種や商材によって最適な設計は異なります。
リードがMQL(Marketing Qualified Lead)に昇格する基準を、スコアリングで自動化します。
| カテゴリ | 項目例 | 配点目安 |
|---|---|---|
| エンゲージメント(行動) | ページ閲覧、メール開封、フォーム送信 | MAX80点 |
| 適合(属性) | 役職、企業規模、業種 | MAX20点 |
50点以上でMQL化、70点以上で営業(FS/IS)へトスという基準が目安です。ただし、閾値は分布を見ながら調整してください。
失注した案件をそのまま放置するのではなく、ナーチャリングに戻す設計が重要です。失注掘り起こしのワークフローでは、ライフサイクルステージを一旦クリアしてから再設定する(通常は逆行不可のため)2ステップが必要になります。
フォームの項目は多すぎるとコンバージョン率が下がり、少なすぎるとリードの質が判定できません。段階的に情報を取得する「プログレッシブプロファイリング」が有効です。
また、フリーメールアドレスのドメインをブロックしたり、競合のドメインをブロックする設定も検討しましょう。
HubSpotでは、マーケティングコンタクトの数に応じて課金されます。2000名でミニマム契約した場合、その中で実際にマーケティング対象となっているのは一部かもしれません。
対象化ワークフロー(フォーム送信時)と対象外化ワークフロー(オプトアウト・バウンス・90日間メール未開封時)の両方を組むことで、課金を最適化できます。
リードを営業に渡す基準(MQL→SQL)を明確に定義し、SLA(Service Level Agreement)として合意しておくことが重要です。「マーケが渡したリードに営業が対応しない」「営業が求めるリードとマーケが獲得するリードにギャップがある」——こうした摩擦を防ぐためです。
BtoBリードジェネレーションは、インバウンドとアウトバウンドの12の手法を組み合わせて実践することが重要です。
まずはSEO・コンテンツマーケティングでインバウンドの基盤を作り、展示会やシーケンスでアウトバウンドを並行して進める——という段階的なアプローチがおすすめです。
HubSpotを活用することで、リード獲得→スコアリング→ナーチャリング→商談化→失注掘り起こしまでの一気通貫フローを構築できます。CRMにデータが蓄積されるほど、リードの質の分析精度が上がり、より効果的な施策を立てられるようになります。
ぜひ自社に最適なリード獲得戦略を設計し、スモールスタートでトライいただければなと思います。
企業様の業種やターゲットによって最適な方法は異なりますが、一般的にはSEO・コンテンツマーケティング(中長期の基盤構築)とウェビナー(即効性のあるリード獲得)の組み合わせが効果的です。展示会は大量のリード獲得に向いていますが、フォローアップの仕組みがないと商談化率が低くなりがちです。
リードジェネレーションは「見込み顧客の情報を獲得するプロセス」、リードナーチャリングは「獲得したリードの検討意欲を育成するプロセス」です。この2つは別々に考えるのではなく、一気通貫の全体フローとして設計することが重要です。
はい、無料プランでもフォーム作成、CRMへのリード登録、基本的なメール配信は可能です。ただし、ワークフローによる自動化やカスタムレポートはProfessional以上のプランが必要です。まずは無料プランで基本的な仕組みを作り、リード数が月200〜300件を超えてきたらProfessionalへのアップグレードを検討するのが良いかなと思います。
まずは「質」を優先すべきです。量だけを追い求めると、営業の工数が無駄になり、マーケと営業の連携に摩擦が生まれます。ターゲットを明確に定義し、そのターゲットに刺さるコンテンツを作ることで、質の高いリードが自然と集まるようになります。
HubSpotのダッシュボードで以下のKPIを追跡することをおすすめします:リード獲得数、チャネル別コンバージョン率、MQL化率、商談化率、リード獲得コスト(CPL)。特に「リード→MQL→SQL→商談→受注」のファネル全体を可視化することで、ボトルネックを特定し改善につなげられます。